家を売りに出したものの、なかなか買い手が見つからず困っていませんか? 公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年度)」によると、首都圏での売却期間は中古マンションで82.6日、中古戸建て住宅で87.1日とされています。しかし、この期間を大きく超えても売れない物件は少なくありません。
売れない状態が続くと、維持費の負担が重くのしかかり、物件の価値も徐々に下がっていってしまいます。とくに空き家の場合は、放置することで近隣トラブルの原因になったり、防犯上の問題が発生したりするリスクもあります。
本記事では、家が売れない主な理由とその具体的な対処法について解説します。また、売れない状態が続いた場合に起こりうる問題や、その対策についても詳しく説明するので、これらの情報を参考に、スムーズな売却につなげてください。
家が売れない6つの理由とその対処法
家が売れない原因は、物件自体の特徴や、売り方、タイミングなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。主な理由として以下の6つが挙げられます。
- 売り出し価格が高い
- 販売時期が悪い
- 築年数が古く、修繕に費用も手間もかかる
- 立地などの条件が悪い
- 再建築不可物件
- 不動産会社の営業力不足
これらの問題に対しては、それぞれ具体的な対処法があります。以下、各原因について詳しく見ていきましょう。
売り出し価格が高い
家が売れない最も一般的な理由は、売り出し価格が市場相場と比べて高すぎることです。できるだけ高値で売却したいという売主の意向は当然のことですが、相場から大きく外れた価格設定は、物件が売れない大きな原因となってしまいます。
価格が高すぎる物件は、購入検討者の候補リストに最初から入らないことが多いのです。不動産ポータルサイトで物件を探す際、多くの購入希望者は予算の上限を設定して検索します。そのため、予算の上限を超えた物件は、その時点で検討対象から外れてしまいます。
また、高めの価格設定で売り出した物件は、販売期間が長期化しやすい傾向です。売り出してから時間が経過すると「売れ残り物件」というレッテルを貼られ、「何か問題がある物件なのではないか」と不安を抱かれてしまうこともあります。その結果、さらに売却が困難になるという悪循環に陥ってしまうのです。
対処法:売り出し価格を下げる
売り出し価格を適切な水準に調整することは、売却を促進する効果的な方法です。適切な価格を判断するためには、同じエリアの類似物件の成約価格や、現在売り出し中の競合物件の価格を丁寧に確認する必要があります。また、不動産市場の動向や地価の変動なども考慮に入れるべき重要な要素です。
ただし、価格調整には慎重な判断が求められます。一度価格を下げてしまうと、後から価格を上げることは非常に困難だからです。また、住宅ローンの残債がある場合は、返済額との兼ね合いも考慮しなければなりません。
価格の見直しを検討する際は、必ず不動産会社と十分に相談することをおすすめします。プロの視点から見た市場分析や、価格調整の具体的な戦略について、詳しいアドバイスを得ることができるでしょう。
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販売時期が悪い
不動産市場には、売却に適したタイミングと、比較的売れにくい時期が存在します。多くの人が住み替えを検討する時期は、年度の変わり目である3月に集中する傾向にあります。これは、就職や転勤、入学などのライフイベントが、この時期に重なることが主な理由です。
一方で、12月から1月の年末年始や、8月の暑い時期は、一般的に不動産の動きが鈍くなります。
気候や季節的な要因以外にも、金利の動向や、不動産市場全体の景気動向なども、物件が売れやすいかどうかに大きな影響を与えます。こうした市場の変動を考慮せずに売り出してしまうと、予想以上に売却に時間がかかってしまう可能性があるのです。
対処法:3月に売り出せるように準備する
需要の多い時期に合わせて売り出すためには、2~3ヶ月前から準備を始めることが大切です。たとえば、3月の需要期に向けて売り出す場合は、遅くとも12月頃から具体的な準備を開始すべきです。
準備期間中には、業者選定、査定、価格設定、必要書類の収集、リフォームの検討などを行います。また、室内の片付けや清掃、外構の手入れなども重要な作業です。こうした準備を慌てずに進めることで、需要期に最適な状態で物件を市場に出すことができます。
ただし、需要期だからといって必ずしも高値で売れるわけではありません。需要期は売り手も多くなるため、競合物件との差別化も重要になってきます。価格設定や物件の魅力づくりについては、不動産会社としっかり相談しながら進めていくことが大切です。
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築年数が古く、修繕に費用も手間もかかる
築年数の経過した物件は、建物の経年劣化が売却の大きな障壁となります。木造などでは築20年を超えると建物の査定評価額は大きく下がり始め、築30年を超えると建物価値がほとんどなくなってしまうケースも少なくありません。
特に1981年以前に建てられた建物は、現行の耐震基準を満たしていない可能性が高く、購入希望者から敬遠されがちです。また、水回りや設備の老朽化、外壁の劣化など、様々な不具合が発生している可能性も高くなります。
さらに、古い物件は断熱性能や省エネ性能が現代の基準と比べて低いことが多いことも購入を躊躇させる要因となっています。修繕やリフォームの必要性が高いため、購入後の追加費用を考慮すると、購入希望者にとって魅力的な選択肢となりにくいのです。
対処法:ハウスクリーニングや一部リフォームを行う
築古物件の売却を成功させるためには、現状の問題点を把握し、効果的な改善を行うことが重要です。まずは専門家による建物診断(ホームインスペクション)を実施し、建物の状態を正確に把握することをおすすめします。
建物診断の結果に基づき、優先順位の高い箇所から改善を進めていきましょう。特に水回りの設備更新や、外壁の補修、クロスの張り替えなど、見た目の印象を大きく左右する部分は、リフォームを検討する価値があります。また、プロによるハウスクリーニングを実施することで、全体的な清潔感を向上させることができるでしょう。
ただし、大規模なリフォームは必ずしも売却価格に反映されるとは限りません。投資額に見合った価格上昇が期待できるかどうかを、不動産会社とよく相談しながら判断することが大切です。
関連記事:不動産の売却時にリフォームするメリット・デメリット|費用相場も紹介
立地などの条件が悪い
立地条件は、不動産の価値を決める最も重要な要素の一つです。最寄り駅からの距離が遠い、日当たりが悪い、周辺の生活利便施設が少ないなど、立地面での不利な条件は、売却を難しくする大きな要因となります。特に問題となりやすいのが、以下のような立地条件です。
- 最寄り駅から徒歩15分以上
- 前面道路が狭く、車の出し入れが困難
- 高台にあり、急な坂道がある
- 周辺に商業施設や医療機関が少ない
- 学区の評価が低い
これらの立地条件は、物件自体をいくら改善しても根本的な解決が難しい問題です。そのため、価格設定で対応せざるを得ないケースが多くなります。
対処法:不動産買取を検討する
立地条件に課題がある物件は、通常の仲介売却では長期化するリスクが高くなります。そのような場合は、不動産会社によって直接買い取ってもらう買取売却も有効な選択肢となります。
買取売却のメリットは、売却までの期間が短く、確実に売却できる点です。また、内覧対応や価格交渉などの手間も省けます。ただし、買取価格は仲介売却での売却価格と比べて低くなる傾向があることは念頭に置いておきましょう。
価格は低めになりますが、維持費や固定資産税などの負担を考慮すると、早期売却による総合的なメリットも検討に値します。特に遠方に住んでいて物件の管理が難しい場合は、買取売却が現実的な解決策となるでしょう。
関連記事:不動産買取りとは?メリット・デメリットや仲介との違いをわかりやすく解説
再建築不可物件
再建築不可物件とは、現在建っている建物を取り壊した後に、新しい建物を建てることができない土地に建つ物件のことです。この制限は主に、建築基準法の接道要件(建築基準法第43条)によって生じます。具体的には、幅4m以上の道路に2m以上接していない土地が、この制限の対象となります。
再建築不可物件は、現在の建物が使用できる間は問題ありませんが、将来的な建て替えができないため、物件の資産価値が大きく低下します。また、金融機関が住宅ローンの融資に消極的になるため、購入希望者が限られてしまいます。
さらに、再建築不可の状態では、大規模な修繕やリフォームも困難になる可能性があります。そのため、年数の経過とともに物件の価値が急速に低下していく傾向にあります。
対処法:再建築可能にして売りに出す
再建築不可の状況を解消するためには、以下のような対策が考えられます。
- 隣地を購入して接道要件を満たす
- 建築基準法第43条第2項第2号による許可を得る
- セットバック(建物の壁面を後退させる)による対応
ただし、これらの対策には相応の費用と時間がかかります。また、隣地の購入が必要な場合は、隣地所有者の協力が不可欠です。対策の実現可能性や費用対効果については、建築士や不動産の専門家に相談しながら慎重に判断する必要があるでしょう。
状況によっては、現状のまま売却価格を大幅に下げて売り出すか、不動産会社による買取を検討するのが現実的な選択肢となることもあります。
不動産会社の営業力不足
不動産会社の営業力不足も、物件が売れない重要な要因となることがあります。具体的には、物件情報の露出が少ない、広告の内容が魅力的でない、内覧の対応が不適切といった問題が挙げられるでしょう。また、「囲い込み」と呼ばれる、自社以外の購入希望者に物件を買わせない不適切な営業手法によって、本来なら成立するはずの取引機会を逃している可能性もあります。
中には、物件の価値を十分に理解せずに、漫然と募集を続けているケースもあります。また、その地域や物件タイプの取引実績が少なく、効果的な販売戦略を立てられていないこともあります。
特に専任媒介契約を結んでいる場合は、その不動産会社の営業力が売却の成否を左右します。しかし、売主自身が営業力の良し悪しを判断するのは難しく、問題に気付くのが遅れてしまうことも少なくありません。
対処法:不動産会社を変更する
不動産会社の営業力に不安を感じた場合は、思い切って会社を変更することも検討しましょう。新しい不動産会社を選ぶ際は、まず、その地域での取引実績が豊富な会社を選びましょう。地域に精通している会社は、適切な価格設定や、効果的な販売戦略を立てることができます。また、過去の成約事例から、売れやすい価格帯や、買主のニーズを把握していることが多いです。
また、物件の広告掲載状況や、内覧対応の丁寧さなども重要な選定基準となります。これらは一括査定サイトを利用することで、複数の不動産会社を同時に比較することができます。特に「イエカカク」のような査定サイトでは、厳選された優良企業のみが登録しており、最大6社まで比較できるため、信頼できる不動産会社を効率的に見つけることができます。
査定額の比較だけでなく、担当者の対応の質や、具体的な販売計画の内容なども総合的に評価して、最適な不動産会社を選びましょう。なお、専任媒介契約期間中の変更は違約金が発生する可能性もあるため、契約内容をよく確認する必要があります。
家を売りたいのに売れない場合はどうなる?
家が売れない状態が続くと、物件の種類や状況によってさまざまな問題が発生します。ここのでは、以下のようなケース別にどのような具体的な問題が発生し、どう対処すべきなのか、詳しく見ていきましょう。
- 住んでいる持ち家を売りたいのに売れない場合
- 実家など、空き家を売りたいのに売れない場合
住んでいる持ち家を売りたいのに売れない場合
現在住んでいる持ち家が売れない場合、主に以下のような問題が発生します。
- 新居購入の資金が準備できなくなる
- 新居の住宅ローン審査に落ちる
- 売れないまま新居に引っ越した場合は、固定資産税の二重払いが発生する
- 管理の手間も二重になる
このように、持ち家が売れない状況が続くと、新居購入に関する資金面での支障が大きな問題となります。また、仮に資金的な目処が立ったとしても、ダブルローンによる審査への影響や、固定資産税の二重負担、管理の手間など、予想以上の負担が発生することになります。早期の売却ができない場合は、これらの問題に対する具体的な対策を検討する必要があります。
実家など、空き家を売りたいのに売れない場合
空き家を売却できない場合、以下のような問題が発生します。
- ご近所トラブルの原因になる
- 倒壊したら賠償責任を負うリスクがある
- 特定空家等に指定された敷地は固定資産税が最大6倍になる
- 犯罪拠点として利用される可能性がある
このように、空き家が売却できない状況が続くと、近隣トラブルや建物の倒壊リスク、防犯上の問題など、さまざまな課題が発生します。
特に深刻なのが、特定空家等への指定リスクです。指定されると敷地の固定資産税が最大6倍になるなど、経済的な負担が大きく増加します。空き家の問題は時間とともに深刻化する傾向にあるため、できるだけ早期の対策が求められます。
家の売却にかかる期間
家の売却にかかる期間は、物件の種類や状態、立地条件などによって大きく異なります。公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏の不動産流通市場の動向(2023年度)」によると、首都圏における売却期間は以下の通りです。
- 中古マンション:82.6日
- 中古戸建住宅:87.1日
つまり、一般的な売却には2~3ヶ月程度かかることになります。ただし、これはあくまでも平均的な期間であり、物件の状態や価格設定、販売時期によっては、さらに長期化することもあります。
素早く売りたいならイエカカクの一括査定がおすすめ
家が売れない状況に直面した際は、売却方法の見直しが有効な対策となります。中でも不動産一括査定の活用は、売却を促進する効果的な手段です。一括査定とは、一度の申し込みで複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスで、各社の査定額や対応の質を比較検討できる便利な仕組みです。
特に「イエカカク」の一括査定は、厳選された優良企業のみが参加している点が特徴で最大6社まで同時に査定可能です。また、登録から査定結果の受け取りまでわずか1分程度と、スピーディーな対応も魅力です。
不動産会社によって得意分野や販売力に違いがあるため、実際の査定では査定額に大きな差が出ることがあります。イエカカクの一括査定を利用することで、より高値で売却できる可能性のある不動産会社を効率的に見つけることができるでしょう。
さらに、イエカカクでは過去にクレームのあった会社は契約解除するなど、厳格な品質管理を行っているため、安心して相談することができます。家が売れずにお困りの方は、まずはイエカカクの一括査定で、ご自身の物件の市場価値を確認してみてはいかがでしょうか。