中古マンションを売却したい人のなかには「何から始めればよいのかわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。中古マンションをスムーズに売却するためには、売却するまでの流れや注意点を把握しておくことが大切です。
この記事では、中古マンションの売却の流れやかかる費用、注意点を解説します。なかなか売却できないときの対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
中古マンション売却の流れ
中古マンションを売却するまでの流れは、以下のとおりです。
- マンションの相場を調べる
- 不動産業者に査定を依頼する
- 不動産業者を選ぶ
- 販売活動を行う
- 売買契約の締結・マンションの引き渡し
中古マンションの売却にかかる期間は、半年が目安といわれています。販売活動を始めてから成約するまでに約3ヶ月ほどかかり、事前準備や売買契約後の引き渡しまでの期間を含めると半年ほどとされています。買主がなかなか見つからなければ売却までの期間が長期化するため、余裕を持ったスケジュールで進めていきましょう。
中古マンションの売却相場
適切な価格で中古マンションを売却するためには、売却相場を把握しておくことが大切です。中古マンションの売却相場は、以下のようにエリアによって異なります。
【主要地域の中古マンションの平均成約価格】
エリア | 平均成約価格 | 平均平米単価 | 平均築年数 |
---|---|---|---|
北海道 | 2,347万円 | 29.61万円 | 27.34年 |
東京都 | 6,058万円 | 101.31万円 | 21.85年 |
愛知県 | 2,485万円 | 33.56万円 | 24.35年 |
大阪府 | 3,211万円 | 47.67万円 | 25.26年 |
福岡県 | 2,644万円 | 38.77万円 | 25.31年 |
東京都の中古マンションの平均売却相場は約6,000万円と高く、そのほかの地域は2,500万~3,000万円程度が相場であることがわかります。
建物は築年数が古くなるほど資産価値が低下して売却価格が下がります。そのため、中古マンションの平均成約価格は、築年数が浅いほど高い傾向があります。築30年を超えたマンションは、築5年以内のマンションと比べて約40%程度にまで売却相場が下がるケースもあります。
マンションの売却相場は、以下の2つのサイトで調べられます。
レインズ・マーケット・インフォメーション
売買が行われた物件の取引情報を閲覧できるサイトです。地域や築年数、間取りなどの詳細情報を入力して絞り込み検索をすれば、売却したい中古マンションと条件が似た物件の売却相場を確認できます。
不動産情報ライブラリ
不動産の価格情報を地図上に表示するシステムです。売却したい中古マンションがある地域の不動産の取引価格情報や成約価格情報を確認できます。
ほかにも、不動産ポータルサイトで売却したい中古マンションと条件が似た物件がどの程度の価格で売りに出されているのかを閲覧することもできます。
売却したいマンションの相場が把握できたら、不動産会社に査定を依頼してみましょう。査定する会社によって査定額が異なるため、複数社に依頼することをおすすめします。一括見積もりサイトの「イエカカク」を利用すれば、最大6社に簡単に査定を依頼できます。
中古マンション売却にかかる費用
中古マンションを売却する際にかかる費用は、物件価格の3.5~4%程度といわれています。かかる費用の内訳は、以下のとおりです。
【中古マンションの売却にかかる費用】
手数料・費用 | 費用の目安 | 支払い時期 |
---|---|---|
仲介手数料 | (売却額×3%+6万円)+消費税 ※不動産売買価格(税抜)が400万円以上の場合 | 売買契約の締結時に50% 引き渡し時に50% |
印紙税 | 1,000円~6万円 ※売却金額によって異なる | 売買契約時 |
抵当権抹消費用 | 不動産1個につき1,000円 (司法書士報酬:1~2万円) | 引き渡し時 |
所有権移転登記 | 土地:固定資産税評価額×2% ※2026年3月31まで1.5% 建物:固定資産税評価額×2% (司法書士報酬:3~6万円) | 引き渡し時 |
一括繰上返済手数料 | 0~5万5,000円 | 引き渡しまでに |
譲渡所得税 | 非課税〜譲渡所得×39% ※2037年までは、別途復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課税される | 確定申告時 |
想定外の出費に困らないように、かかる費用を事前に把握しておきましょう。
中古マンションの売却に必要な書類
中古マンションを売却する際には、以下のようにさまざまな書類が必要です。スムーズに売却するためにも、売却に必要な書類を把握しておきましょう。
【中古マンションの売却に必要な書類】
書類 | 概要 | 使用するタイミング |
---|---|---|
身分証明書 | 運転免許証・健康保険証・マイナンバーカード・パスポートなど | 売却前 契約・引き渡し時 |
登記済証(権利証)または登記識別情報 | 物件の所有者であることを証明する書類 | 売却前 契約・引き渡し時 |
登記簿謄本 | マンションの登記事項が記載された書類 | 売却前 契約・引き渡し時 |
住宅ローンの返済予定表または残高証明書 | 住宅ローンの借入総額や返済期間、残債などがわかる書類 | 売却前 |
固定資産税納税通知書 | 固定資産税の納税額を通知する書類 | 売却前 契約・引き渡し時 |
購入時のパンフレットや間取り図 | マンション購入時に受け取ったパンフレットや間取り図 | 売却前 |
マンション管理規約 | 共用部分の使い方などのルールが記載された書類 | 売却前 契約・引き渡し時 |
重要事項説明書 | マンション購入時に受け取った物件内容・取引条件・告知事項などが記載された書類 | 売却前 契約・引き渡し時 |
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等 | 耐震診断の結果やアスベスト使用調査の結果が記載された書類 | 売却前 契約・引き渡し時 |
実印・印鑑証明書 | 実印と登録した実印を証明する書類 | 契約・引き渡し時 |
住民票 | 個人や世帯についての情報が書かれた書類 | 契約・引き渡し時 |
必要書類の準備には時間がかかるため、余裕をもったスケジュールで進めることが大切です。買主や取引状況によっては不要となる書類もあるので、事前に不動産会社に確認しておきましょう。
中古マンション売却前の注意点
中古マンションを売却する前の注意点は、以下の5つです。
- マンションの査定は複数依頼する
- 信頼できる不動産会社に依頼する
- 査定価格と実際の販売価格は違うことを理解する
- 住宅ローンは完済しておく必要がある
- 自分に合った契約方法を選ぶ
それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
マンションの査定は複数依頼する
適切な価格で中古マンションを売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。
1社のみの査定では査定額が妥当であるかを判断するのが難しいため、複数社の査定額を比較しましょう。複数社に査定依頼するときは、一括査定サイトの「イエカカク」を利用するのがおすすめです。イエカカクを使えば、査定申し込みフォームに必要事項を入力するだけで最大6社の査定額を手軽に比較できます。
信頼できる不動産会社に依頼する
中古マンションの売却をスムーズに進めるためには、信頼できる不動産会社に依頼することが大切です。信頼できる不動産会社を探すためにも、以下のような点に注目しましょう。
- 査定額の根拠を説明してくれるか
- 中古マンションの売却実績が豊富であるか
- 担当者が誠実に対応してくれるか
査定額の根拠を詳しく答えてくれる不動産会社は、信頼できるといえるでしょう。また、中古マンションの売却実績が豊富な不動産会社に依頼することで、ノウハウや独自のネットワークを活かして売却活動を進められます。
査定価格と実際の販売価格は違うことを理解する
不動産会社が提示する査定額は、物件の条件や状態をもとにした売却価格の予想であるため、実際にその価格で売却できるとは限りません。
査定額や売却相場を参考にして売り出し価格を決めるものの、買主がより低い購入希望額を提示した場合は、価格交渉をして最終的な売買価格が決まります。そのため、査定額よりも安い価格で売却することになる可能性もあります。
交渉時に困らないように、値下げ交渉にどこまで応じるのかを決めておくのも重要なポイントです。
住宅ローンは完済しておく必要がある
住宅ローン返済中のマンションを売却する際は、ローンを完済するのが一般的です。マンションの売却代金で住宅ローンの残債を返済する場合は、売却価格が住宅ローン残債を下回らないように注意しましょう。
売却価格が住宅ローン残債を下回ると、足りない部分を自己資金で補う必要があります。
自分に合った契約方法を選ぶ
中古マンションの売却を不動産会社に仲介してもらうときには、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれ以下のように特徴が異なります。
【媒介契約の種類】
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社との契約 | 〇 | × | × |
有効期間 | なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
自己発見取引 | 〇 | 〇 | × |
業務状況の報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
指定流通機構への登録 | なし | 7日以内 | 5日以内 |
一般媒介契約では複数社に媒介を依頼できますが、専任媒介契約と専属専任媒介契約は依頼できる業者が1社に限定されます。また、一般媒介契約と専任媒介契約は、自身が見つけた購入希望者と直接取引することもできますが、専属専任媒介契約では契約した不動産会社を介して取引しなければならないので注意しましょう。
中古マンション売却活動中の注意点
中古マンション売却活動中は、以下の5つの点に注意しましょう。
- 適切な価格に設定する
- 内覧に向けて十分に準備する
- 不動産会社の担当者とこまめに連絡を取り合う
- マンションの瑕疵は隠さず伝える
- 買主の与信に注意する
それぞれの注意点を解説します。
適切な価格に設定する
中古マンションをスムーズに売却するためには、適切な売り出し価格に設定することが大切です。販売価格を高くしすぎると、買主が見つからず売却活動が長期化する原因になり、安くしすぎると期待していた金額で売却できない可能性が高まるので注意が必要です。
売り出し価格を決めるときは、売却相場や複数社の査定額を参考にして、適切な価格に設定しましょう。
内覧に向けて十分に準備する
中古マンションの売却では、購入検討者が部屋を見学する内覧時の印象をよくすることが大切です。目立つ汚れがあると、値下げ交渉の原因や購買意欲の低下につながります。
好印象を与えるためにも、玄関や水回り、バルコニーなどを掃除して明るく清潔な状態に整えておきましょう。
不動産会社の担当者と小まめに連絡を取り合う
売り出し期間中は、不動産会社の担当者と小まめに連絡を取り合うことが大切です。不動産会社の担当者は複数の売却案件を担当していることが多いため、積極的に売却活動をしてもらえるように、小まめに連絡を取って売りたい姿勢を見せることが大切です。
売却活動は不動産会社に任せっきりになるのではなく、担当者と協力しながら進めることを意識しましょう。
マンションの瑕疵は隠さず伝える
マンションを売るときは瑕疵を隠すことなく、買主に伝えるようにしましょう。瑕疵とは、排水管の不具合や水漏れといった通常の品質や性能を果たせない欠陥の総称です。
このような瑕疵を隠してマンションを売却し、あとで見つかった場合は、売主が補修費用を負担しなければなりません。買主から損害賠償を請求されたり、契約解除を求められたりする可能性もあるので注意しましょう。
買主の与信に注意する
買主が見つかったとしても、売買契約がスムーズに進むとは限りません。買主が住宅ローンの審査に通らなければ代金を支払えず、契約を締結できない可能性があります。
住宅ローンの審査では、返済能力がチェックされます。金融機関の基準に満たなければ融資が実行されない場合があるため、買主の与信に注意しましょう。
中古マンション売却後の注意点
中古マンションの売買契約を締結したあとは、以下の点に注意しましょう。
- 契約後は速やかに引き渡す
- 確定申告が必要なケースがある
それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
契約後は速やかに引き渡す
契約後は、マンションを速やかに引き渡すことが大切です。引き渡し期日に間に合うように、引越しや引き渡し当日に必要な書類の準備を進めましょう。
引き渡し期日に間に合わなければ、買主とトラブルになる可能性があります。契約不履行と判断されて、契約解除となる恐れもあるので注意しましょう。
確定申告が必要なケースがある
中古マンションの売却で得た利益は、譲渡所得として税金がかかります。そのため、売却益が発生したときには、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をする必要があります。
条件を満たしていれば税金を軽減できる特例制度があるため、利用できる制度がないかを確認しておきましょう。また、売却損が出た際に使える特例もあるため、適用を受けるためにも確定申告を忘れないようにしましょう。
中古マンションがなかなか売却できないときの対処法
中古マンションがなかなか売却できないときは、以下の方法を試してみましょう。
- 依頼する不動産会社を見直す
- 販売活動の方向性を見直す
- 販売価格を見直す
- ハウスクリーニングや修繕をして売却する
- 不動産買取も検討する
それぞれの対処法について詳しく解説します。
依頼する不動産会社を見直す
マンションがなかなか売却できないときは、不動産会社の変更を検討してみましょう。マンションの売却が得意な不動産会社や、効果的な宣伝活動をしてくれる会社に変えることでスムーズに売却できる確率が高まります。
ただし、専任媒介契約または専属専任媒介契約を結んでいる場合、契約期間中にほかの不動産会社を介して見つけた買主と売買契約を締結すると、違約金を請求される場合があるので注意しましょう。
販売活動の方向性を見直す
販売活動には、チラシ配りや電話・メールによるアプローチ、インターネット上での宣伝などさまざまな方法があります。
買主がなかなか見つからない場合、物件の魅力が十分に伝わっていない可能性があるため、販売活動の方向性を見直すことが大切です。不動産会社の担当者と相談して、効果的な宣伝方法を検討しましょう。
販売価格を見直す
高く売りたいという気持ちから販売価格を相場より高く設定すると、買主が見つかりにくくなります。そのため、なかなか売却できないときは販売価格を見直すことが大切です。
わずかに値下げするだけでは安くなったことが伝わりにくいため、思い切った値下げをするのも手段の一つです。
ハウスクリーニングや修繕をして売却する
水回りカビが発生していたり壁に汚れがあったりする場合は、買主の購買意欲が下がってしまいます。そのような印象を与えると、購入まで至りにくくなるだけでなく、値下げ交渉をされる場合があります。
中古マンションを納得がいくい金額でスムーズに売却するためにも、修繕や掃除をして買主に好印象を与えられるようにしましょう。自分で掃除しても取れない汚れがある場合は、ハウスクリーニングを依頼してみるのがおすすめです。
買取も検討する
不動産会社や販売活動の方向性、販売価格を見直しても買主が見つからないときは、買取を選択するのも手段の一つです。買取とは、第三者ではなく不動産会社にマンションを買い取ってもらう方法のことです。
買主を見つけて売却するよりも売却価格が安くなる傾向があるものの、買取であれば仲介より早く現金化できるケースもあります。売却できない状況を長引かせたくない方は、買取も視野に入れてみましょう。
関連記事:マンションを高く売却する7つのコツ!売れない場合の対処法も解説
中古マンションの売却はイエカカクがおすすめ
中古マンションの売却にかかる期間は、半年が目安とされています。なかなか買主が見つからなければ、半年以上の期間を要する場合もあります。中古マンションの売却をスムーズに進めるためには、複数の不動産会社を比較して信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
複数の不動産会社を比較する際は、一括見積もりサイトの「イエカカク」を利用するのがおすすめです。イエカカクでは、査定申し込みフォームに必要事項を入力するだけで最大6社を手軽に比較できます。イエカカクを活用して自身に合う不動産会社を見つけ、中古マンションをスムーズに売却しましょう。