マンション売却を考えているものの、「失敗してしまうのではないか」「後悔することになるのではないか」と不安を感じている方は少なくありません。この記事では、マンション売却で後悔する具体的な理由と、その対処法を詳しく解説します。これから売却を考えている方は、この記事で紹介する対策を事前に把握することで、スムーズな売却活動を進めることができるでしょう。
マンション売却で後悔する理由とは?

マンション売却での後悔は、主に「売却価格」「タイミング」「売却方法」「不動産会社選び」「契約内容」に関するものが多く見られます。具体的には以下のような理由が挙げられます。
- 査定額を鵜呑みにした・相場より安く売ってしまった
- 売却を急ぎすぎた・時期を見誤った
- 仲介と買取の選択を間違えた
- 担当者が頼りなかった・囲い込みに遭った
- 重要事項説明を理解していなかった
これらの後悔は、事前の準備や知識があれば防ぐことができます。以降では、それぞれの後悔の理由と具体的な対策について詳しく見ていきましょう。
売却価格で後悔|査定額を鵜呑みにした・相場より安く売ってしまった
マンション売却において、最も多い後悔の一つが売却価格に関するものです。特に注意が必要なのは、不動産会社の査定額をそのまま信用してしまうケースです。査定額が高すぎる場合、実際には売れない価格で売り出すことになり、結果的に時間を無駄にしてしまいます。逆に、査定額が低すぎる場合は、本来得られたはずの利益を逃してしまう可能性があります。
例えば、700万円という高額査定を提示した不動産会社に依頼したものの、実際には500万円での購入申し込みしか得られず、その後も強引な値下げ交渉を迫られるケースもあります。結果的に別の不動産会社へ依頼して730万円で売却できましたが、このような事例から不動産会社の実力を見極めないまま査定額を安易に信用すると危険であることが分かります。
タイミングで後悔|売却を急ぎすぎた・時期を見誤った
売却のタイミングを誤ることも、大きな後悔につながります。東日本不動産流通機構の調査によると、2023年度の中古マンションの売却期間の平均は、82.6日かかるとされています。この期間を考慮せずに急いで売却を進めると、さまざまな問題が発生する可能性があります。
具体的な失敗例として、転職や住み替えのために急いで売却を決めたものの、十分な市場調査や価格交渉の時間が取れず、相場より低い価格で妥協せざるを得なくなったケースがあります。また、マンションの売買は季節性があり、3~4月や9月などの引っ越しシーズンに需要が高まる傾向があります。この時期を外してしまうと、買い手が見つかりにくくなる可能性があるでしょう。
売却を検討し始めたら、最低でも半年程度の期間を見込んで、慌てず計画的に進めることが重要です。特に、住宅ローンの残債がある場合や、次の住居の購入を考えている場合は、より余裕を持ったスケジュール設定が必要です。
参考:公益財団法人東日本不動産流通機構|首都圏不動産流通市場の動向(2023年度)
売却方法で後悔|仲介と買取の選択を間違えた
マンション売却の方法には主に「仲介」と「買取」がありますが、この選択を誤ると大きな後悔につながります。それぞれの特徴を理解せずに選んでしまい、結果的に自分の状況に合わない売却方法となってしまうケースが少なくありません。以下に、仲介と買取それぞれのメリット・デメリットをまとめました。
売却方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
仲介 | ・高値での売却が期待できる ・価格交渉の余地がある | ・売却完了までに時間がかかる ・仲介手数料が必要 |
買取 | ・即時売却が可能 ・手続きが簡単 ・周囲に知られずに売却できる | ・売却価格が低くなりやすい ・業者の買取価格次第 |
例えば、転勤が決まり1ヶ月以内に売却を完了させたい場合に仲介を選択してしまうと、期限までに買主が見つからないリスクがあります。逆に、時間に余裕があるのに買取を選択すると、本来得られたはずの利益を逃してしまう可能性があるでしょう。
不動産会社選びで後悔|担当者が頼りなかった・囲い込みに遭った
不動産会社や担当者の選択ミスも、売却後の後悔につながります。特に注意が必要なのが、「囲い込み」と呼ばれる営業手法です。これは、不動産会社が両手取引(売主と買主の両方から仲介手数料を得る取引)を狙って、他社に正確な物件情報を開示しないような行為を指します。例えば、「今なら高値で買える人を紹介できる」と言って専任媒介契約を急かされたものの、実際にはそのような買主は存在せず、その後も適切な営業活動が行われなかったというケースがあります。
また、担当者の経験不足や対応の悪さも問題です。必要書類や日程の連絡が遅い、質問への回答が曖昧、アポイントなしの突然の来訪など、プロフェッショナルとして不適切な対応により、スムーズな売却活動が妨げられることがあります。
手続きや契約内容で後悔|重要事項説明を理解していなかった
不動産取引における重要事項説明書は、売買契約の核となる重要な書類です。しかし、専門用語が多く内容が複雑なため、十分な確認をせずに契約してしまい、後から問題が発生することがありますので十分注意しましょう。
具体的な例として、管理規約や修繕積立金の引き継ぎ、瑕疵担保責任(契約不適合責任)の範囲などを正確に理解していなかったために、引き渡し後にトラブルになったというケースがあります。特に注意が必要な確認ポイントとして以下が挙げられます。
- マンションの権利関係(所有権、抵当権の有無)
- 管理費や修繕積立金の金額と滞納の有無
- 直近の大規模修繕の実施状況と今後の計画
- 設備の不具合や修繕の履歴
- 売主の瑕疵担保責任(契約不適合責任)の範囲と期間
マンション売却で後悔しないための具体的な対策

これまで見てきた後悔を防ぐために、実践的な対策を整理しましょう。以下の7つの対策を適切に実施することで、満足度の高い売却を実現できます。
- 複数(3社以上)の不動産会社に査定依頼をする
- 査定額の根拠をしっかり確認する
- 自分でも周辺の相場を調べて比較する
- 売却目的と希望条件を明確にする
- 媒介契約の種類を理解して最適なものを選ぶ
- 信頼できる担当者を見つける
- 内覧対策で好印象を与える
これらの対策について、具体的な実施方法を順に見ていきましょう。
複数(3社以上)の不動産会社に査定依頼をする
マンション売却の成功には、最低でも3社以上の不動産会社に査定を依頼することが重要です。その理由は、不動産会社によって査定額や得意とする物件タイプが異なるためです。査定依頼時のポイントは以下の通りです。
- 地域密着型の不動産会社と大手不動産会社をバランスよく選ぶ
- マンション売却の実績が豊富な会社を優先的に選ぶ
- 一括査定サービスを活用して効率的に複数社と比較する
査定結果を比較する際は、単に金額だけでなく以下の要素も重要です。
- 査定額の根拠となる計算方法の説明
- 周辺相場や取引事例の具体的な提示
- マンションの特徴や立地を踏まえた販売戦略の提案
- 担当者の対応の丁寧さや専門知識の深さ
査定額の根拠をしっかり確認する
査定額を受け取った際は、その金額がどのように算出されたのか、根拠を詳しく確認することが重要です。実際の事例では、根拠の説明が曖昧な高額査定を信じて契約したものの、結果的に買手がつかずに大幅な値下げを迫られるケースが報告されています。
- 参考にしている取引事例
- 取引時期は最近3ヶ月以内か
- 駅からの距離や築年数が近い物件か
- 面積や間取りが類似しているか
- 査定金額の算出方法
- 基準となる単価(平米単価)の設定根拠
- 査定価格に影響する増減要因の説明
- 現在の市場動向との整合性
- 売却までの具体的な販売計画
- 想定される販売期間
- 広告戦略の内容
- 値下げの判断基準や時期
このように、査定額の根拠をしっかりと確認し、理解することで、適切な売却価格の設定や、今後の価格交渉に活かすことができるでしょう。また、不動産会社の信頼性を判断する重要な材料にもなります。
自分でも周辺の相場を調べて比較する
不動産会社任せにせず、売主自身で相場調査を行うことは、適正価格での売却を実現する重要なステップです。売主自身で相場調査を行うことで、不動産会社の査定額が適切かどうかを判断できるようになります。また、買主との価格交渉の際にも、根拠のある判断が可能になるでしょう。相場調査の具体的な方法は以下の通りです。
- Reins Market Information(不動産流通機構・レインズ)の活用
- 不動産ポータルサイトでの情報収集
- 実地調査のポイント(周辺の開発計画や再開発情報や新築マンションの販売状況など)
例えば、自己調査により同じマンション内で過去3ヶ月に3件の取引があり、その価格帯が3,200万円〜3,500万円だったことを把握したとします。この情報を基に不動産会社と価格交渉を行い、当初の査定額3,000万円から3,300万円で売り出し、最終的に3,250万円(適正価格)での売却ができることもあるでしょう。
このように、自己調査で得た情報は、不動産会社との交渉や適正価格の判断において、重要な判断材料となります。調査結果は必ずメモを取り、写真やスクリーンショットで記録に残しておくことをおすすめします。
売却目的と希望条件を明確にする
マンション売却を始める前に、なぜ売却するのか、どのような条件で売却したいのかを明確にすることが重要です。
売却目的を整理する際は、単に「資金が必要だから」「住み替えたいから」といった漠然とした理由ではなく、「子どもの進学に合わせて来年4月までに学区の良い地域に住み替えたい」「5年後の定年までに住宅ローンを完済したい」といった具体的な目標を設定しましょう。
売却条件は「必ず実現したいこと」「できれば実現したいこと」「あれば望ましいこと」の3段階で整理します。特に住宅ローンの残債がある場合などは最低売却価格や売却期限は「必ず実現したいこと」として明確な数字を設定し、希望売却価格や引き渡し時期は「できれば実現したいこと」として、ある程度の幅を持たせて考えましょう。
また、売却計画では以下の具体的なスケジュールを組みましょう。
- 査定依頼から売り出しまでの期間(1~2週間程度)
- 売り出しから購入申込みまでの想定期間(2~3ヶ月程度)
- 契約から決済までの期間(1~2ヶ月程度)
- 引っ越しの時期(決済の前後2週間程度)
このように目的と条件を明確にし、具体的な計画を立てることで、後々の意思決定がぶれにくくなり、結果として満足度の高い売却につながります。
媒介契約の種類を理解して最適なものを選ぶ
マンション売却において、媒介契約の選択は売却活動の進め方に大きく影響します。媒介契約は大きく3種類に分かれており、それぞれ以下のような特徴があります。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
一般媒介 | ・複数の不動産会社と同時に契約可能 ・会社の切り替えが自由 ・契約期間の制限なし | ・不動産会社の活動が消極的になりがち ・売り出し価格にバラつきがある ・活動報告の義務なし |
専任媒介 | ・7日以内に不動産流通機構(レインズ)へ情報登録 ・2週間に1回以上の報告義務あり | ・他社への依頼ができない ・契約期間は最長3ヶ月 |
専属専任媒介 | ・5日以内に不動産流通機構(レインズ)へ情報登録 ・最も積極的な販売活動が期待できる ・週1回以上の詳細な報告あり | ・他社への依頼が完全に不可 ・契約期間は最長3ヶ月 ・自己発見取引(売主自らが買主を見つけて行う取引)でも仲介手数料が必要 |
自身の状況に合わせた契約形態は、以下のような基準で選ぶことをお勧めします。
売却を急いでいない場合は一般媒介がおすすめです。複数の不動産会社の対応を比較でき、特定の会社に縛られることなく、じっくりと売却活動を進められます。
半年程度での売却を目指す場合は専任媒介が適しています。定期的な報告があり、安定した価格での売却が期待できます。また、レインズへの登録義務があるため、より多くの購入検討者の目に触れる機会が増えます。
できるだけ早期の売却を希望する場合や、特に信頼できる不動産会社が見つかった場合は、専属専任媒介を選択すると良いでしょう。最も手厚いサポートを受けられ、不動産会社の全力での販売活動が期待できます。
信頼できる担当者を見つける
マンションの売却において、担当者選びは成功の大きな鍵となります。信頼できる担当者の特徴として、以下のような点がポイントになります。
- 質問への回答が具体的で分かりやすい
- 売却事例や市場動向の説明が豊富
- 連絡や報告が迅速で丁寧
- スケジュールの提案が明確
- 売主の要望をしっかりとヒアリングする
担当者との面談時には、以下の点を確認しましょう。
- マンション売却の経験年数と実績
- 担当エリアでの取引件数
- 物件の価格設定根拠
- 具体的な販売計画と手法
- 売却後のアフターフォロー体制
内覧対策で好印象を与える
内覧は購入の決め手となる重要な機会です。効果的な内覧準備のポイントは以下の通りです。
- キッチンの油汚れを完全に除去
- 浴室のカビや水垢を徹底的に清掃
- 洗面所の鏡や蛇口の水垢除去
- トイレの便器と床を隅々まで清掃
- 不要な家具や私物は事前に整理
- クローゼットや収納は7割程度まで
- 窓は清掃して光を十分に取り入れる
- 室内の換気を十分に行う
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これまで見てきたように、マンション売却での失敗や後悔を防ぐためには、適切な不動産会社選びが重要な鍵となります。特に売却価格の判断や担当者の対応、内覧時の準備など、さまざまな観点から慎重に検討を進める必要があります。しかし、一社一社個別に査定を依頼するのは、時間も手間もかかります。
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一括査定を利用することで、複数の不動産会社の査定額や対応を比較検討できるため、適切な売却価格の判断材料となります。また、各社の担当者の対応の違いも確認できるため、信頼できる不動産会社を見つけやすくなります。
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