転勤や家庭の事情で所有しているマンションを離れることになり、売るのか貸すのか迷っている方は多いのではないでしょうか。マンションを売却すれば、まとまった資金を得られる反面、その後は資産として活用することができません。マンションを貸せば、再び住むことができますが、維持費がかかったり将来的な売却価格が下がったりする可能性があります。
このように売却と賃貸には異なるメリット・デメリットがあるため、それぞれの違いを押さえたうえで自分に合った方法を選ぶことが大切です。
そこでこの記事では、マンション売却が向いているケースと、賃貸が向いているケースを紹介します。それぞれの注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
マンションは売るのか貸すのかどっちがよい?
マンションを売るのか貸すのかのどちらがよいかは、重視するポイントや物件の特徴によって異なります。
まずは、マンションを売るのがおすすめの場合と、貸すのがおすすめの場合を紹介します。
マンションを「売る」のがおすすめの場合
マンションを「売る」のがおすすめなのは、以下に該当する場合です。
- 今後、住む予定がない
- まとまった資金が必要
- 賃貸にかかるコストや手間が煩わしい
マンションを貸す場合は、不動産会社の管理費や固定資産税などの負担が発生します。また、入居者の募集やクレーム対応が必要なケースもあります。
今後住む予定がなく、これらの費用や手間に煩わしさを感じる人は、売却するのがおすすめです。
加えて、マンションを売れば、まとまった資金を受け取れる可能性があります。新しい物件の購入や引越しを考えているなら、マンションを売って資金を確保するのもよいでしょう。
関連記事:【2024年】マンション売却に最適なタイミングをわかりやすく解説
マンションを「貸す」のがおすすめの場合
マンションを「貸す」のをおすすめできるケースは、以下のとおりです。
- 今後、住む予定がある
- 継続した家賃収入を得たい
- 築年数が浅く、駅の近いコンパクトな間取りのマンション
「転勤による引っ越しでいずれは戻る可能性がある」「親から相続し、定年後に住む予定がある」といったケースでは売却せずに貸す方法がおすすめです。
将来的に戻りたいときは、入居者と結ぶ契約内容に注意しましょう。不動産の賃貸借契約には、以下の普通借家契約と定期借家契約があります。
普通借家契約 | 契約期間の満了後でも借主が希望すれば契約が更新される |
定期借家契約 | 原則として契約の更新がないため、契約期間の満了に伴って借主は退去しなければならない |
普通借家契約は、借主が保護される契約内容であるため、貸主の一方的な都合で退去してもらうことは基本的にできません。そのため、一時的に不在となるマンションを賃貸に出すときは、定期借家契約を結ぶのがよいでしょう。
また、築年数が浅く、駅の近いコンパクトな間取りのマンションであれば、賃貸の需要が高い単身者や二人暮らしからの人気を得やすい傾向があります。築年数が経過していたり、家族向けの広さ・間取りであったりする物件は、賃貸より売却の方が向いているといえます。
住宅ローンが残っている場合は、金融機関に相談する
住宅ローンが残っているマンションは、基本的に売ったり貸したりすることができません。
住宅ローンの残債があるマンションを売るときは、自己資金や売却代金でローンを完済して抵当権を抹消するのが一般的です。
一方、住宅ローンが残っているマンションを賃貸に出すと、住宅ローンの契約違反に該当する可能性があります。住宅ローンは「自己居住用の不動産」の購入費用に充てることが前提となっているため、賃貸に出すと融資対象であるマンションが自己居住用に該当しなくなることで契約違反となってしまうのです。
住宅ローン返済中のマンションを賃貸に出すためには、ローン残債を一括返済したり、賃貸用の住宅ローンに借り換えたりする対応が必要になります。なかには、転勤などのやむを得ない事情があるときに住宅ローンの返済を続けながら貸し出すことができる金融機関もあります。
住宅ローンへの適切な対処法は、残債額や契約内容によって異なるので、まずは金融機関に相談してみましょう。
マンションを「売る」メリット・デメリット
マンションを売るメリット・デメリットは、以下のとおりです。
- まとまった資金を得られる
- マンションの維持費が不要
- 管理の手間がかからない
- 売却費用がかかる
- 資産として活用できなくなる
それぞれ詳しく紹介します。
メリット1:まとまった資金を得られる
マンションを売ると、まとまった資金を得られる可能性があります。マンションを手放してすぐに新居を購入したり引越しをしたりする予定がある場合は、売却を選ぶのがおすすめです。
ただし、住宅ローンが残っている場合は、マンションの売却代金を返済に充てることになります。マンションの売却代金がローン残債を上回っているときは、自由に使える資金が手元に残ります。一方、残債額の方が大きいときは、不足分を自己資金で補てんしなければなりません。
メリット2:マンションの維持費が不要
マンションを賃貸に出す場合、管理費や修繕積立金、固定資産税や都市計画税といったタンニングコストを負担しなければなりません。一方、マンションを売る場合は、仲介手数料やリフォーム費用などの一時的な費用を負担するだけで済みます。
賃貸経営をすることに煩わしさを感じる人は、マンションを貸すより売る方が向いているでしょう。
メリット3:管理の手間がかからない
マンションを貸す場合、入居者の対応や管理などの手間がかかります。
管理業務の一部を管理会社に委託することができますが、管理委託料を支払う必要があります。ほとんどの業務は管理会社に任せられますが、トラブルが起こったときの最終的な判断は貸主に委ねられるのが一般的です。
一方、マンションを売って手放せば、管理の手間はかかりません。マンションの管理が手間に感じる人や、トラブルが起こったときにストレスを受けたくない人は売却を選んだ方がよいでしょう。
デメリット1:売却費用がかかる
マンションを売る際は、売却価格の5~10%程度の売却費用がかかるとされています。マンションの売却費用には、以下のような費用が含まれます。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登記費用
- 譲渡所得税
- 各証明書の取得費
- ハウスクリーニング費用
マンションを売ったあとに新居を購入したり引越ししたりする場合は、売却費用を見据えた資金計画を立てることが大切です。なお、一定要件を満たすと、控除制度の適用を受けて譲渡所得税を抑えられるので、事前に要件を確認しておきましょう。
関連記事:マンション売却に使える控除は?かかる税金についてもわかりやすく解説
デメリット2:資産として活用できなくなる
マンションを売ると所有資産ではなくなります。そのため、賃貸に出して家賃収入を得たり、子どもに実物資産を残したりできなくなります。「給与以外の収入を得たい」「マンションを子どもに譲りたい」という人は、売却を選ばない方がよいでしょう。
マンションを売る場合の注意点
マンションを売る際には、以下の点に注意しましょう。
- 住宅ローンを完済しなければ売却できない
- 譲渡所得税がかかる場合がある
- すぐに売れるとは限らない
住宅ローンが残っているマンションを売却するときは、ローンを完済して抵当権を抹消するのが一般的です。そのため、マンション売却代金より残債額の方が大きいときは、不足分を自己資金で補わなければなりません。
また、マンション売却で発生した売却益には、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は、以下の計算式で求めた「課税所得金額」に税率をかけて算出します。
課税所得金額=売却価格-(取得費+売却費用)
取得費とはマンションを購入する際にかかった費用のことで、購入代金や仲介手数料、登録免許税などが挙げられます。税率は、マンションを売却した年の1月1日時点の所有期間によって下表のように異なります。
区分 | 所有期間 | 税率(※) |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超え | 20.315% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
※所得税、住民税、復興特別所得税を含む
譲渡所得税の納税義務が発生したときは、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をしなければなりません。
また、マンションの状態や立地によっては、買主がすぐに見つからない可能性があります。買主が見つからないときは、売り出し価格を下げることもあり、納得いく価格で売却できないケースも考えられるでしょう。
売却活動をスムーズに進めるには、信頼できる不動産会社を選んだり、需要が高まりやすい2~3月に売却のタイミングを合わせたりするのが効果的です。
一括見積もりサイトの「イエカカク」を利用すれば、たった1分程度の入力で最大6社に一括査定ができます。また、過去に苦情があった企業は契約を解除しているため、信頼できる不動産会社を見つけたい方は活用してみましょう。
マンションを「貸す」メリット・デメリット
マンションを貸し出すメリット・デメリットには以下のようなものがあります。
- 家賃収入を得られる
- 再度、住むことができる
- 資産として維持できる
- 初期投資・維持費がかかる
- 管理の手間がかかる
- 将来的な売却価格が下がるおそれがある
一つずつ詳しく見ていきましょう。
メリット1:家賃収入を得られる
マンションを賃貸に出せば、継続的な収入を得られる可能性があります。収入を増やしたい人や、退職後の生活資金に不安がある人は、家賃収入に大きなメリットを感じるでしょう。
ただし、空室や家賃滞納によって家賃収入を得られなくなるケースも考えられます。家賃収入が減っても、マンションの維持費などの支払いは必要になるので、赤字になってしまう可能性もあります。
賃貸としての需要が低いエリアや間取りの場合は、マンションを売却することも視野に入れておきましょう。
メリット2:再度、住むことができる
マンションを売却すると、再度住むことが難しくなります。一方、賃貸に出すのであれば、空室になったタイミングに再び住むことができます。転勤や家庭の事情で一時的に離れるときは、所有しながら賃貸に出すことを検討しましょう。
メリット3:資産として維持できる
マンションを賃貸に出せば、自身の資産として保有し続けることができます。
一度賃貸に出して、まとまった資金が必要になったタイミングで売却することもできるので、家計の状況にあわせて柔軟に対応しやすくなるでしょう。また、一時的に住まなくなったマンションを賃貸にすれば、子どもが自立するときに譲ることもできます。
デメリット1:初期投資・維持費がかかる
マンションを貸し出すときは、部屋のクリーニングやリフォームを行う必要があります。クリーニングやリフォームにかかる費用は、貸主が負担するのが一般的です。加えて入居者を不動産会社に探してもらう場合は、仲介手数料も発生します。
また、マンションを貸す際は、以下のような維持費もかかります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 管理費
- 修繕積立金
- 管理委託料(管理会社に部屋の管理を委託する場合)
入居者の退去後のクリーニングやリフォーム、入居者を探すための広告宣伝にも費用がかかります。賃貸経営をする際は、これらの収支を管理しなければなりません。細かい計算をすることが面倒に感じる人は、マンション売却を選んだほうがよいでしょう。
デメリット2:管理の手間がかかる
マンションを貸し出す場合、オーナーは以下のような管理をする必要があります。
- 入居者の募集・契約手続き
- 家賃の管理
- クレーム対応
- 設備の点検
- 退去時の立ち会い など
賃貸管理の業務は、管理会社に委託することもできます。自身で賃貸管理をすれば管理会社に支払う委託料を節約できますが、マンション管理にはさまざまな業務があるため、知識や時間のない人が対応するのは難しいでしょう。
デメリット3:将来的な売却価格が下がるおそれがある
マンションを貸し出すデメリットには、将来的な売却価格が下がるおそれがあることが挙げられます。住宅の市場価値は、築年数の経過に応じて下がっていく傾向があります。
国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」では、築年数25年の中古マンションの場合、価値がおよそ50%まで下がるというデータが公表されています。
マンションを手放す予定でいる場合は、築年数が浅いうちに売却した方が利益を得られる可能性があります。賃貸住宅としての需要があるのか、どのタイミングで売却すればいいのかを考慮したうえで賃貸か売却かを選びましょう。
マンションを貸す場合の注意点
マンションを貸す際は、以下の点に注意しましょう。
- 借主が見つからなければ収入が得られない
- 住宅ローンが残っている場合は、賃貸に出すのが難しい
- 借家契約の種類に注意する
マンションを賃貸に出せば、安定した家賃収入が期待できますが、借主が見つからなければ収入を得られません。家賃収入が得られなくても、維持費を負担し続けなければならないため、赤字になるリスクもあります。
住宅ローンが残っている場合は、貸し出すことができないため、基本的に自己資金で完済したり賃貸用の住宅ローンに借り換えたりする必要があります。ただし、転勤などのやむを得ない事情であれば、そのまま返済を続けながら賃貸に出せる場合があります。住宅ローンが残っているマンションを貸す際は、事前に金融機関に相談してみましょう。
また、賃貸経営で主に結ばれる借家契約には、借主の希望で契約を更新できる普通借家契約と、契約期間の満了に伴って借主は退去しなければならない定期借家契約があります。普通借家契約は、貸主の一方的な都合で退去してもらうことは基本的にできません。そのため、将来的に戻る予定がある場合は、定期借家契約を結ぶのがよいでしょう。
マンションの売却手順
マンションを売却する際の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 必要書類などの事前準備をする
- マンションの査定を受ける
- 不動産会社を選ぶ
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 売却活動をする
- 売買契約の締結・マンションの引き渡し
- 確定申告をする
マンションを売却する際は、複数の不動産会社に査定依頼をして、査定価格を比較することが大切です。査定価格は不動産会社によって異なるので、比較することでより高い価格で売却できる可能性が高まります。ただし、価格が高すぎると、買主が見つからないケースがあるので、複数の不動産会社に査定依頼をして相場感をつかむようにしましょう。
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関連記事:マンション売却の流れ!必要な準備から手順までわかりやすく解説
マンションを貸す手順
マンションを賃貸に出す一般的な流れは、以下のとおりです。
- 入居者募集や契約の仲介してくれる不動産会社を探す
- 賃貸借契約の種類や家賃、リフォーム有無などを決める
- 不動産会社と契約を結ぶ
- 入居者を募集する
- 賃貸借契約を締結する
仲介業務や入居後の管理業務は、不動産会社に委託するのが一般的です。仲介業務と管理業務のいずれか一方のみを行う会社もあれば、両方を委託できる会社もあります。まとめて依頼したい場合は、管理業務も行ってくれる不動産会社を探しましょう。
迷った場合は同時進行も検討する
マンションを売るか貸すか選び切れないときは、同時進行も検討しましょう。売却活動と賃貸活動を同時に進めることで、両方のメリット・デメリットを比較しやすくなります。加えて、借主や入居者の募集状況から、売却と賃貸のどちらの需要が高いのかの判断材料にもなります。
ただし、1つの不動産会社に売却と賃貸の両方を依頼すると、公平な募集活動をしてもらえない可能性があります。なぜなら、賃貸より売却の方が、不動産会社が得られる利益が大きいためです。
手続きや連絡の手間を省きたい場合は1つの不動産会社にまとめて依頼する方法、賃貸活動にも力を入れたい場合は売却と賃貸を別々の会社に依頼する方法を選ぶのがよいでしょう。
売却価格が知りたいならイエカカクの一括査定がおすすめ
マンションを売るのか貸すのかのどちらがよいのかは、重視するポイントや今後のライフプラン、物件の特徴によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分に合った方法を選びましょう。
売却と賃貸で迷ったときは、査定額を見て判断するのも手段の一つです。
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