売却したい土地があっても、どのくらい税金がかかるのかわからず不安な人もいるでしょう。
この記事では、土地を売る際にかかる税金とその計算方法を紹介し、節税あるいは税金をゼロにするために使える特例とその内容を詳しく解説しています。
土地の売却を検討中の人は、特例の詳細を知ってぜひ節税の参考にしてみてください。
土地を売る際に税金はかかる?
土地を売る際にどのくらい税金がかかるのか知りたい人も多いでしょう。土地売却時には、必ずかかる税金とケースによってはかかる税金の2種類があります。
そのため、税金が全くかからないわけではありません。まず、土地の売却でかかる税金について紹介しましょう。
必ずかかる税金
土地を売る際に必ずかかる税金には、以下があります。
■印紙税
土地の売買契約を結ぶ際にかかります。
■登録免許税
住宅ローンがある場合に、土地の所有権登記で銀行が設定した抵当権を抹消する手続きの際にかかります。
ケースによってかかる税金
土地売却によって利益(譲渡所得)がある場合は、以下の税金がかかります。
■譲渡所得税
└所得税および復興特別所得税
└住民税
利益に対してそれぞれの税率がかけられるので、利益が大きくなるほど税額も大きくなります。
土地を売却しても利益がなければ税金はかかりません。
土地を売る際にかかる税金の計算方法
では、実際に土地を売る際にかかる税金の計算方法について見ていきましょう。
- 印紙税
令和9年3月31日までに作成される土地建物売買契約書で契約金額が10万円を超えるものの印紙税の税額は、以下のとおり軽減されています。
【軽減後の税額】
記載された契約金額 | 税額 |
---|---|
100万円を超え500万円以下のもの | 1千円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 5千円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 32万円 |
50億円を超えるもの | 48万円 |
出典:国税庁|不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
- 免許登録税
免許登録税自体は、不動産1件につき1000円ですが、司法書士に依頼する場合の手数料の平均は1.5万円程度です。
- 譲渡所得税
計算方法は「課税される譲渡所得の金額」※1×「税率」※2です。
※1:課税される譲渡所得の金額は「譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(次章で解説)」により計算。
※2:税率
区分 | 所得税+復興特別所得税* | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得(所有期間が5年超) | 15%+0.315% | 5% |
短期譲渡所得(所有期間が5年以下) | 30%+0.63% | 9% |
*所得税率に2.1%を上乗せ
例えば、10年前に2000万円で買った土地を3500万円で売った場合(譲渡費用は未考慮)、譲渡所得の税額は以下のように計算します。
課税される譲渡所得の金額(3500万円−2000万円)×長期譲渡所得税・復興特別所得税・住民税(合計税率20.315%)=譲渡所得の税額(304万7250円)
土地を売る際に利用できる控除や特例
土地を売る際にケースによってかかる税金は、控除や特例を利用するのが節税のポイントです。控除や特例には以下のものがあります。
- 3,000万円特別控除
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
- 収用等により土地建物を売ったときの特例
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3,000万円特別控除
マイホームの土地を売って譲渡益がある場合、所有期間にかかわらず課税譲渡所得金額が最高3,000万円控除される特例です。
この特例を受けるためには、以下の条件(一部抜粋)を満たす必要があります。
- 自分が住んでいるあるいは住んでいた家屋とともに土地を売却し、住まなくなってから3年後の12月31日までに売ること
- 売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと
- 売った年、その前年および前々年にその他のマイホームの特例の適用を受けていないこと
- 売った家屋や土地につき、収容等の特別控除などの特例の適用を受けていないこと
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
更に、売った年の1月1日時点でマイホームの所有期間が10年を超えていると、上記3000万円の控除後の課税長期譲渡所得金額に対する税率が軽減されます。
【軽減後の税率】
所有期間が10年超の課税長期譲渡所得 | 所得税+復興特別所得税* | 住民税 |
---|---|---|
6000万円までの部分 | 10%+0.21% | 4% |
6000万円を超える部分(通常の長期譲渡所得税率) | 15%+0.315% | 5% |
*所得税率に2.1%を上乗せ
関連記事:マンション売却時に使える「3,000万円控除」とは?わかりやすく解説
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続または遺贈により取得した被相続人(故人)の居住用家屋または敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売り一定の要件に当てはまるとき、譲渡所得の金額から最高3,000万円※まで控除できる特例です。
※令和6年1月1日以後に行う譲渡で被相続人の居住用財産(空き家)を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上の場合は2,000万円まで。
■特例対象の被相続人(故人)の居住用家屋とは
相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限る)。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
■特例対象の被相続人(故人)の居住用敷地等とは
相続の開始の直前に被相続人の居住用家屋の敷地になっていた土地。
■特例を受けるための要件
- 相続または遺贈により被相続人の居住用家屋および被相続人の居住用家屋の敷地等を取得したこと。
- 次の売却をしたこと。
・相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売り、相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。
・相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売り、相続の時から譲渡および取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがなく、取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。
・相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売る場合で、相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがなく、次のAまたはBの要件に当てはまること(令和6年1月1日以後に行う譲渡に限る)。
A 譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなったこと。
B 譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、被相続人居住用家屋の全部の取壊し等を行ったこと。 - 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 売却代金が1億円以下であること。
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
個人が、平成21年に取得した国内にある土地または土地の上に存する権利(以下「土地等」)を平成27年以降に譲渡した場合、または平成22年中に取得した土地等を平成28年以降に譲渡した場合は、その土地等に係る譲渡所得の金額から1,000万円を控除できる特例です。譲渡所得が1,000万円に満たない場合はその譲渡所得の金額が控除額になります。
■特例を受けるための要件
- 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地等を取得していること。
- 平成21年に取得した土地等は平成27年以降に譲渡すること、また、平成22年に取得した土地等は平成28年以降に譲渡すること。
- 親子や夫婦など特別な間柄にある者から取得した土地等ではないこと。特別な間柄には、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
- 相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済および所有権移転外リース取引により取得した土地等ではないこと。
- 譲渡した土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど他の譲渡所得の特例の適用を受けないこと。
収用等により土地建物を売ったときの特例
土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売った場合は、収用などの課税の特例が受けられます。以下の2つがあります。
- 収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例
売った金額より買い換えた金額が多いときは所得税の課税が将来に繰り延べられ、売った年については譲渡所得がなかったものとされます。売った金額より買い換えた金額が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行います。
■特例を受けるための要件(以下すべてを満たすこと)
・売った土地建物は固定資産※であること。
※不動産業者などが販売目的で所有している土地建物ではない
・原則として、売った資産と同じ種類の資産を買い換えること。 同じ種類とは、土地と土地、建物と建物のこと。その他、一組の資産として買い換える、事業用の資産を買い換える、など。
・原則として、次の期間内に代わりの資産を取得すること。
A 土地建物の収用等のあった年
B 土地建物の収用等のあった年の前年(その収用等によりその土地建物等を譲渡することが明らかとなった日以後の期間に限る)
C 土地建物の収用等のあった年の翌年1月1日から収用等のあった日以後2年を経過した日までの期間
- 譲渡所得から最高 5,000万円までの特別控除を差し引く特例
以下の要件を満たすと、譲渡所得から最高5,000万円まで控除できます。
■特例を受けるための要件(以下すべてを満たすこと)
・売った土地建物は固定資産であること。
・その年に公共事業のために売った資産の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(前述1)の適用を受けていないこと。
・最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売っていること。
・公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(その者の死亡に伴い相続または遺贈により当該資産を取得した者を含む)が譲渡していること。
土地を売る際に譲渡所得税がかからない売り方
土地を売る際に、ケースによってかかる税金(譲渡所得税)がかからないようにする売り方を紹介しましょう。
控除を利用する
前述のような特例による控除を利用することが売却における節税ポイントのひとつです。なぜなら、譲渡所得の金額から控除ができれば、課税基準となる譲渡所得の金額が小さくなり、支払う税金が少なくなるからです。
特例による控除額は最高3000万円など大きな金額のことが多いため影響力が大きく、控除後の譲渡所得がゼロ以下になれば税金(譲渡所得税)はかかりません。
ただし、特例による控除を適用するには一定の要件を満たすことが不可欠ですので、その要件に合うように売却をすることが大切です。
土地の取得費用よりも安く売却する
土地の取得費用よりも安く売却することも、売却における節税ポイントのひとつです。なぜなら、譲渡所得は売却価格から取得費などを引いて計算しますが、取得費の方が大きければ譲渡所得はゼロ以下になり発生しないため、税金(譲渡所得税)はかかりません。
例えば、2000万円で買った土地を1500万円で売れば、利益(譲渡所得)はありませんので税金はかかりません。ただし、土地売却による損失(△500万円=1500万円−2000万円)はあります。
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土地を売ると、必ずかかる税金とケースによってはかかる税金の2種類があります。ケースによってかかる税金を特例などの適用でいかに減らすことができるかが節税のポイントです。
そのためには、利用できるさまざまな特例に関する知識は必要です。特例を利用した取引を多く扱う不動産業者を選ぶとスムーズに節税ができることが期待されます。
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