マンションの売却を検討しているものの、どのような書類が必要なのかわからず不安に感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、査定依頼から引き渡しまで、各段階でどのような書類が必要なのかを詳しく解説します。「初めての売却で何を準備すればいいかわからない」「必要書類を見落としたくない」という方は、安心して売却を進めるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
マンション売却で必要な書類
マンションを売却する際には、査定時、媒介契約時、売買契約時、引渡時など、取引の各段階でさまざまな書類の提出が求められます。ここでは、タイミング別に必要書類を一覧で紹介し、その後詳しく解説していきます。
なお、複数回提出が必要な書類については、最初に必要となるタイミングで詳しく説明します。
査定依頼時 | 媒介契約時 | 売買契約時 | 引き渡し時 | |
---|---|---|---|---|
住宅ローンの返済予定表・残高証明書 | ○ | |||
分譲時のパンフレット | ○ | |||
身分証明書 | ○ | |||
登記済証(権利証)・登記識別情報 | ○ | |||
実印・印鑑登録証明書 | ○ | |||
固定資産税納税通知書 | ○ | |||
付帯設備表 | ○ | |||
物件状況確認書(告知書) | ○ | |||
管理費・修繕積立金がわかる書類 | ○ | |||
印鑑証明書 | ○ | |||
固定資産税評価証明書 | ○ | |||
住民票 | ○ | |||
抵当権の抹消に必要な書類 | ○ |
それでは、各段階で必要となる書類について詳しく見ていきましょう。
査定依頼時に必要な書類
マンションの適切な売却価格を知るためには、不動産業者による査定が不可欠です。査定では、物件の広さや間取り、築年数だけでなく、住宅ローンの残債や管理状態なども考慮されます。より精度の高い査定をしてもらうために、用意しておくべき書類を紹介します。
住宅ローンの返済予定表・残高証明書
住宅ローンの返済予定表とは、毎月の返済額や返済期間が記載された書類です。一方、残高証明書は現在の借入残高を証明する書類です。
これらの書類は売却計画やスケジュールを決める際に必要となります。マンションに住宅ローンが残っている場合、最終的に住宅ローンを完済しなければならないためです。
マンションの売却価格が住宅ローンの残高を下回っている場合、自己資金を入れて住宅ローンを返済する必要があります。仮に自己資金を入れてもマンションを売却できない場合は、任意売却など別の手段を取らなければなりません。
不動産会社はこのような事情も含めて査定を行うため、住宅ローンの返済予定表や残高証明書が必要となるのです。
なお、返済予定表は借り入れをしている金融機関に申請すると、1週間〜10日ほどで取得できます。残高証明書は毎年10月頃に自宅に送付されます。
分譲時のパンフレット
分譲時パンフレットとは、マンションが販売された際に作成された資料で、物件の間取りや設備、共用部分の情報などが詳しく記載されています。
分譲時パンフレットが必要な理由は、物件の詳細情報(間取り、専有面積、設備仕様など)を正確に把握し、適切な査定額を算出するためです。また、購入検討者への説明資料としても活用します。
リノベーションで間取り変更を行っている場合でも必要となるため、事前に用意しておきましょう。
購入時の書類と一緒に保管しているのが一般的ですが、紛失した場合は管理会社に問い合わせる必要があります。目安として申請から取得まで1週間ほどの時間がかかると考えましょう。
なお、不動産会社が取得してくれるケースもあるため、書類が手元にない場合は事前に不動産会社に相談しておくのがおすすめです。
媒介契約時に必要な書類
媒介契約とは、不動産会社に物件の売却を依頼する際に結ぶ契約です。この契約を交わした後、不動産会社は販売図面の作成やホームページへの掲載といった売却活動をスタートします。
媒介契約を結ぶ際には、以下の書類が必要となります。
- 身分証明書
- 登記済証(権利証)・登記識別情報
- 実印・印鑑登録証明書
- 固定資産税納税通知書
それぞれについて見ていきましょう。
身分証明書
身分証明書は、マンションの所有者本人であることを証明する公的な書類です。マンション売却は高額な取引となるため、なりすまし等の不正を防ぐ目的で必要となります。
認められる身分証明書は以下のとおりです。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 住民基本台帳カード(写真付き)
- 在留カード(外国籍の方)
顔写真付きの身分証明書がない場合、健康保険証と国⺠年⾦⼿帳など、顔写真がない身分証を2つ提示することで代用できるケースもあります。詳細は不動産会社によって異なるため、問い合わせてみましょう。
登記済証(権利証)・登記識別情報
登記済証(権利証)は2004年以前に発行された、物件の所有権を証明する書類です。2005年以降は登記識別情報(暗証番号のようなもの)に変更されました。これらは、売主がマンションの所有者であることを証明するために必要です。
権利証や登記識別情報は、購入時の重要書類と一緒に保管されているのが一般的です。仮に紛失してしまった場合は、本人確認制度を利用しましょう。本人確認制度とは、司法書士などの有資格者や公証役場の公証人に本人確認をしてもらうことです。そこで作成された書類を使用することで、権利証や登記識別情報がなくても不動産取引ができます。
実印・印鑑登録証明書
印鑑登録証明書は、実印が本人の正式な印鑑であることを証明する公的書類です。不動産売買では高額な取引となるため、売主は実印の使用が義務付けられており、その実印が本物であることを証明するために必要となります。
印鑑証明書はお住まいの市区町村役場で即日取得できます。
固定資産税納税通知書
固定資産税納税通知書は、毎年6月頃に市区町村から送られてくる、固定資産税・都市計画税の納付額が記載された書類です。この書類は物件の正確な課税評価額や納税額を確認するために必要で、売買契約時の精算金額の計算にも使用されます。
納税通知書や課税明細書は再発行できる自治体とできない自治体があるため、紛失した際はお住まいの市区町村役場の窓口で確認しましょう。
なお、再発行できない場合は後述する固定資産税評価証明書や名寄帳で代用します。
売買契約時に必要な書類
売買契約とは、売主と買主の間で物件の取引条件を正式に取り決める重要な手続きです。この段階では、以下のような書類が必要になります。
- 付帯設備表
- 物件状況確認書(告知書)
- 管理費・修繕積立金がわかる書類
それぞれについて見ていきましょう。
付帯設備表
付帯設備表は、マンションに設置されている設備や備品のうち、売買契約に含まれるものを明確にするための書類です。エアコンや照明器具、カーテン、システムキッチンなどの設備について、売買対象となるかどうかを項目ごとにチェックします。
付帯設備表は、引き渡し後のトラブルを防ぐために重要です。また、買主が必要な設備の準備を計画する際の参考にもなります。
一般的に、不動産会社が用意するフォーマットに記入する形で作成します。現地で設備の状態を確認しながら作成するため、1〜2時間程度かかりますが、事前に部屋の設備をリストアップしておくと効率的です。
物件状況確認書(告知書)
物件状況確認書は、マンションの不具合や修繕履歴、事故の有無などについて、売主が買主に対して告知する書類です。宅地建物取引業法で告知が義務付けられており、買主の購入判断に重要な情報を提供するとともに、売買契約後のトラブルを防ぐ役割があります。
具体的には不動産会社から提供される所定の用紙に、以下のような事項を記載します。
- 建物の構造・設備の不具合
- 過去の修繕歴
- 事故や事件の有無
- 近隣トラブルの有無など
記入にかかる時間の目安は30分程度です。記入内容に不安がある場合は、不動産会社に確認しながら進めましょう。
管理費・修繕積立金がわかる書類
管理費・修繕積立金がわかる書類とは、以下のような書類です。
- 管理費等領収書
- 管理費等支払証明書
- マンションの重要事項調査報告書
これらは売買契約後の管理費等の精算だけでなく、滞納がないことの証明や、買主が将来の支出を把握するためにも重要です。
一般的に用いられるのは、マンションの重要事項調査報告書です。この書類は管理組合や管理会社から入手できます。
通常、申請から受取までに1週間ほどの期間がかかります。なお、不動産会社が代理で取得してくれるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
引き渡し時に必要な書類
物件の引き渡しは、売買契約の最終段階です。この段階では、以下のような書類が必要になります。
- 印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書
- 住民票
- 抵当権の抹消に必要な書類
それぞれについて見ていきましょう。
印鑑証明書
印鑑証明書は、実印が本人の正式な印鑑であることを公的に証明する書類です。所有権移転登記の申請時に必要となり、売主の本人確認と意思確認を行うための重要な書類として扱われます。
印鑑証明書は、お住まいの市区町村役所で取得できます。取得の際は、本人確認書類(運転免許証など)と印鑑登録カードを持参します。即日発行が可能で、手数料は300〜500円程度です。
なお、所有権移転登記の申請には発行日から3ヶ月以内のものが必要となるため、引き渡し日が近づいてから取得することをおすすめします。
固定資産税評価証明書
固定資産税評価証明書とは、その年度の固定資産税評価額を証明する公的書類です。この書類は、不動産取得税の算出基準として使用されるほか、売主と買主の間で固定資産税を精算する際の資料としても必要となります。
取得には、物件所在地の市区町村役場の窓口(東京23区では都税事務所)で申請を行います。本人確認書類を持参すれば、即日で発行されます。
住民票
住民票は、現在の住所や世帯構成を証明する公的書類です。不動産の売却時に住民票が必要になるのは、登記簿上の住所と現在の住所が異なっている人のみです。
住民票は、お住まいの市区町村役場で取得できます。本人確認書類を持参すれば、通常即日発行が可能です。印鑑証明書と同様に、発行日から3ヶ月以内のものが必要となるため、引き渡し日が近づいてから取得することをおすすめします。
抵当権の抹消に必要な書類
住宅ローンを組んでいる場合、マンションには抵当権が設定されています。抵当権を抹消するために、金融機関から抵当権抹消承諾書や登記原因証明情報などの書類を取得する必要があります。
金融機関によっても異なりますが、これらの書類は発行までに1週間〜10日程度かかると考えましょう。なお、手続きは司法書士に依頼するのが一般的であるため、不動産会社や司法書士と相談しながら進めるのがおすすめです。
マンション売却であると便利な書類
マンション売却では、必須書類以外にも、あらかじめ用意しておくと手続きがスムーズに進む書類があります。
ここからは、売却の各段階で役立つ書類を紹介します。
査定依頼時
査定依頼時にあると便利な書類は以下のとおりです。
概要 | 役立つシーン | 入手方法 | |
---|---|---|---|
リフォーム関連書類 (リフォームしている場合) | リフォームの内容が記載されている | リフォームの内容や設備のグレードがわかり、査定価格に反映される | ・自己所有 ・紛失時はリフォーム会社に問い合わせ |
賃貸借契約書 (賃貸に出している場合) | 賃貸借契約の内容が記載されている | 家賃や契約内容がわかり、査定に反映される | ・自己所有 ・紛失時は賃貸の仲介を依頼した不動産会社に問い合わせ |
リフォームは査定時にプラスに評価されることが多いです。そのため、いつどのようなリフォームを行ったのかを証明できる書類を用意しておきましょう。
賃貸に出している投資用マンションの場合、必ず賃貸借契約書の提出が求められるため、事前に用意しておくとスムーズです。
媒介契約時
媒介契約時には、以下の書類があると手続きがよりスムーズになります。
概要 | 役立つシーン | 入手方法 | |
---|---|---|---|
マンションの管理規約 | 管理費や修繕積立金の額、ペット飼育などの制限事項が確認できる | 購入検討者へマンションの情報を伝えられる | ・自己所有 ・管理組合 ・管理会社 |
直近の修繕工事資料 | 大規模修繕の実施状況や今後の予定が分かる | 大規模修繕の有無を購入検討者に伝えられる | ・自己所有 ・管理組合 ・管理会社 |
管理組合の総会資料 | マンション全体の運営状況や修繕計画が確認できる | 購入検討者への説明資料となり、契約後のトラブルを回避できる | ・自己所有 ・管理組合 ・管理会社 |
マンションは戸建てと違い、区分所有者1人の判断では管理や修繕を行えません。マンション全体としてどのようなルールがあるのか、現在何が話し合われているのかを共有できるようにしておくとスムーズです。
売買契約時
売買契約時はすでに買主が購入物件への理解を深め、納得している状態であるため、新たな書類を用意する必要はありません。
提供すべき情報はすべて提供したうえで、売買契約に臨むため、必要な情報が記載されている書類は、売買契約までに共有しておきましょう。
あえて挙げるとすれば、ご自身が周辺施設をどのように利用しているのかなど、案内図のようなものがあると買主にとても親切です。
引き渡し時
引き渡し時には、以下の書類があるとスムーズです。
概要 | 役立つシーン | 入手方法 | |
---|---|---|---|
設備の取扱説明書 | 各種設備の使用方法や保証書が確認できる | ・入居時 ・設備の故障時 | ・自己所有 |
メンテナンス業者の連絡先 | 緊急時の連絡先がわかる | ・設備の故障時 | ・自己所有 ・インターネット |
買主が入居後に困らないように準備しておきましょう。
マンションを売却したら確定申告が必要
マンションを売却した際には、その売却益(譲渡所得)について確定申告を行う必要があります。なお、売却時に一定の条件を満たしていれば、税金を軽減できる特例制度を活用できます。
主な特例制度は「3,000万円特別控除」と「10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」です。
3,000万円特別控除は、居住用財産(マイホーム)を売却した際に、売却益から3,000万円を控除できる制度です。多くの場合、3,000万円特別控除を活用することで、非課税でマイホームを売却できます。
10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は、10年以上所有していた住居を売却する場合に適用できる制度です。
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
短期譲渡所得 (所有期間5年以下) | 30.63% | 9% |
長期譲渡所得 (所有期間5年超え) | 15.315% | 5% |
10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 | 10.21%(6,000万円以下の部分) 15.315%(6,000万円超の部分) | 4%(6,000万円以下の部分) 5%(6,000万円超の部分) |
なお、これらの特例は併用可能です。3,000万円特別控除を適用し、その後の残額に対して軽減税率を適用することで、税負担を軽減できます。ただし、特例の適用には細かな条件があるため注意しましょう。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
関連記事:マンション売却に使える控除は?かかる税金についてもわかりやすく解説
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