不動産(土地)譲渡とは|売却で発生する税金と譲渡所得税の計算方法

不動産(土地)の譲渡とは主に売却を示しますが、中には相続や贈与による譲渡もあります。売却ではなく、相続や贈与となると課税の対象になるかどうかや課税対象になった際の税金の種類が異なります。

今回は相続や贈与における不動産(土地)の譲渡の違いや通常の譲渡との違いについて解説します。

これから不動産の譲渡として売却以外に贈与や相続を考えている人はぜひ参考にしてください。

目次

土地の譲渡とは

土地を譲渡するというのは、土地を第三者に有償で譲り渡すことです。有償で譲り渡すことから売却とも言われます。

ただ、譲渡には第三者に有償で譲り渡す行為だけでなく、無償で譲り渡す贈与や相続などがあります。

譲渡と贈与、相続では手続きが異なりますし、課税対象となった際の税金の種類も異なりますので、これらの違いをしっかりと押さえておく必要があります。

譲渡と贈与、そして相続のそれぞれの違いについて、以下で詳しく説明します。

譲渡と贈与の違い

土地の譲渡と贈与は、どういった点に違いが現れるのでしょうか。以下に分かりやすく表にまとめましたので参考にしてください。

譲渡贈与
有償・無償有償無償
課税対象譲渡した側譲り受けた側
税金の種類譲渡所得税贈与税

譲渡の場合は有償ですので、譲渡して利益を得た場合は、譲渡した側に利益に応じた譲渡所得税および住民税が課税されます。

しかし贈与は無償のため、譲り受け側が課税対象となり、課税対象金額に応じた贈与税を納めなければなりません。

譲渡と相続の違い

譲渡と相続の違いは以下のとおりです。

譲渡相続
有償・無償有償無償
タイミング問われない土地の所有者(権利者)の死亡時
課税対象譲渡した側土地の所有者の相続人
税金の種類譲渡所得税相続税

譲渡と相続では、タイミングや課税対象、さらに税金の種類も異なります。

相続の場合は通常なら法定相続人が相続税の対象となり、仮に法定相続人が1人で土地を譲り受けた場合、その法定相続人が課税対象となる金額に応じた相続税を納める必要があります。

土地の譲渡で発生する税金の種類

土地を譲渡する場合、以下のような税金が発生します。

概要
譲渡所得税土地を譲渡し、利益が出た際にかかる所得税および住民税
印紙税売買契約書に記載された金額に応じた税金額を収入印紙を貼付することで納める
登録免許税不動産登記の際に必要な税金。所有権移転登記など、登記の種類によって税率が異なる

これらに加えて不動産会社に支払う仲介手数料に消費税がかかる点にも注意しておきましょう。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、土地や建物などの資産を譲渡した際に発生する税金です。実際の税額はまず譲渡所得金額を計算し、その後特別控除などを当てはめて課税譲渡所得金額を算出したあとに税率をかけて求めます。

ここでは、譲渡所得税額を求める流れを説明します。

1.譲渡所得を計算する

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

譲渡所得金額は、譲渡収入金額から取得費と譲渡にかかった費用を差し引いて求めます。

ここでいう譲渡収入金額とは、売却して得た金額つまり売却収入です。取得費とは、その物件を取得した費用で、土地の購入代金や購入時にかかった費用が当てはまります。

譲渡費用として計上できるのは、不動産会社に支払った仲介手数料や売買契約書締結時に支払った印紙税などです。

仮に譲渡の際の売却収入が4,500万円で、取得費および譲渡費用が1,000万円だった場合、譲渡所得金額は3,500万円です。

2.課税譲渡所得を計算する

課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除

課税金額とは、上で求めた譲渡所得金額から特別控除を差し引いたものです。特別控除とは、課税所得金額を求める際に用意されているもので、自宅を売却した際には3,000万円の特別控除が適用されます。

そのため、上の計算例が自宅の売却だった場合は、譲渡所得金額の3,500万円から3,000万円の特別控除を差し引いた50万円が課税譲渡所得金額です。

3.税額を計算する

税額=課税譲渡所得×税率(所得税・住民税・復興特別所得税)

納める税額は、課税譲渡所得金額に税率を乗じて求めます。そして計算された譲渡所得税は、譲渡した翌年の確定申告にて納めることになります。

税率については、次項で詳しく説明します。

税率は所有期間によって異なる

最終的な譲渡所得税率は、譲渡した年の1月1日時点の所有期間によって異なります。

詳しくは以下のとおりです。

短期長期
所有期間5年以下5年超
所得税率30.63%15.315%
住民税率9%5%
合計の税率39.63%20.315%

所有期間が5年以下の場合は税金が高くなる点に注意しておきましょう。

印紙税

印紙税とは、不動産売買契約書などの課税文書に対し、契約書に記載された金額に応じた税額を、契約締結時の書類に収入印紙を貼付する形で納めます。

税額は以下のとおりですが、2027年3月31日までに作成される不動産譲渡契約書については、軽減措置が設けられています。

契約金額税額軽減後の税額
1万円未満非課税非課税
10万円以下200円200円
10万円超50万円以下400円200円
50万円超100万円以下1,000円500円
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円

出典:国税庁|No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで

登録免許税

登記を行う際には、その登記の内容に応じた税金を登記申請書に貼付して納めなければなりません。この税金のことを登録免許税といいます。

■登録免許税の計算方法

登録免許税=固定資産税評価額×2%(2026年3月31日までは1.5%)

固定資産税評価額は、毎年送られてくる固定資産税納付通知書に同封されている課税証明書で知ることができるほか、その不動産がある自治体の窓口でも把握できます。

関連記事:固定資産税評価額とは|調べ方や計算方法について解説

土地の譲渡にかかる費用

土地の譲渡にはさまざまな費用がかかります。代表的な費用には以下のものがあります。

概要金額の目安
仲介手数料買い手を見つけてくれる不動産会社に対して支払う手数料売却価格×3%+6万円+消費税
測量費用売却する土地の境界線などを明確にするために測量を行う際に必要な費用作業内容によって異なるが、60万円~80万円が目安

また、売却する土地に抵当権が設定されているままだと売却できないため、抵当権抹消登記手続きが必要です。抵当権抹消登記手続きは自分でも行えますが、司法書士に依頼すると報酬が発生します。

土地を譲渡する流れ

土地を譲渡する際の一連の流れは以下のとおりです。

土地を譲渡する際の流れ
  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 不動産会社と媒介契約を締結する
  3. 買主と売買契約を締結する
  4. 決済・引渡を行う
  5. 確定申告・納税を行う

それぞれの流れの詳細について、以下で詳しく説明します。

1.不動産会社に査定を依頼する

土地を譲渡する際には、まず不動産会社に対して査定を依頼する必要があります。査定を依頼することでおおよその相場価格を知ることができます。

ただ、不動産会社に依頼する際には1社だけでなく複数の不動産会社に依頼することが大切です。1社だけだと、相場から離れた金額を提示してくるかもしれませんし、その正誤を見分けることもできません。複数の不動産会社に依頼し、査定の根拠を説明してもらうことで、より信頼できる不動産会社を見つけることができるでしょう。

ただ、複数の不動産会社に1社ずつ依頼するのは手間がかかります。そのため、複数の不動産会社に依頼する際には一括査定サービスを利用しましょう。

イエカカクでは厳選した優良企業に対して最大6社まで一括査定が行えます。対応エリアも47都道府県ですので、地方の土地でも依頼できます。利用は無料で、入力もインターネット上で簡単に行えますので、ぜひ利用してみてください。

2.不動産会社と媒介契約を締結する

複数の不動産会社に査定を依頼し、販売活動を依頼したいと思う不動産会社が見つかったら、その不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約には、以下の表のように3つの種類がありますので、自分に合う媒介契約を選んで締結しましょう。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
他業者への依頼可能不可(一社のみ)不可(一社のみ)
自分で買主を探せるか可能可能不可
報告の頻度任意(原則なし)2週間に1回以上1週間に1回以上
レインズへの登録義務任意(原則なし)7日以内に登録5日以内に登録
契約期間制限なし3ヶ月以内3ヶ月以内

一般媒介契約だとほかの不動産会社にも依頼できますが、レインズへの登録義務がないなど購入希望者が見つかるまでに時間がかかる可能性があります。専任媒介契約や専属専任媒介契約ならレインズへの登録義務がありますし、報告もきちんとしてくれるため、どのような状況なのかが分かって安心です。ただし、専属専任媒介契約では自分で買い主を探せない点に注意が必要です。

関連記事:不動産売却の媒介契約とは?一般媒介と専任媒介の違いやメリット・注意点も

3.買主と売買契約を締結する

購入希望者が決まったら、売買契約を締結します。売買契約締結時には不動産売買契約書の作成が必要ですが、不動産会社が作成してくれます。ただ、金額や引渡し時期などの内容が自分の意思に合っているかどうかをきちんと確認するようにしましょう。

同時に重要事項説明を行う必要がありますが、これは宅建士が行います。

売買契約締結時には印紙税が必要ですので、事前に忘れずに準備しておきましょう。

4.決済・引渡を行う

売買契約が成立したら、契約書にて決めた時期に決済および物件の引渡しを行います。

通常、決済や引渡しは売買契約締結後1ヶ月以内に行われます。

また、決済や引渡しと同時に所有権を移転する登記手続きも必要です。登記手続きに関しては、司法書士に依頼するケースが多いため、司法書士への報酬が発生することも覚えておきましょう。

5.確定申告・納税を行う

土地を譲渡(売却)し、それによって利益が発生した場合は、譲渡所得税を納めなければなりません。納税、譲渡を行った翌年の確定申告の時期に忘れずに行うようにしてください。

確定申告時期は原則として2月16日から3月15日までの間です。また、確定申告の際には、土地を譲渡した年の確定申告書や譲渡所得の計算明細書などが必要です。もしも確定申告書の書き方が分からなかったり、譲渡所得金額の計算が分からなかったりする場合は、税理士に相談することをおすすめします。

不動産譲渡の価格査定はイエカカクにおまかせ!

不動産の譲渡には、第三者に有償で譲り渡す譲渡と、相続もしくは贈与による譲渡があります。相続や贈与の場合、不動産を譲り受けた人が相続税もしくは贈与税を納めますが、第三者に対する有償譲渡の場合は、譲渡した側が譲渡所得税を納めなければなりません。

譲渡所得は売却した日の1月1日時点の所有期間によって、短期譲渡所得と長期譲渡所得に分けられ、それぞれの税率が異なります。譲渡によって利益が出た場合は、必ず譲渡した翌年の確定申告時期に確定申告を行うことを忘れないようにしましょう。

土地を売却する際には、不動産会社に査定を依頼する必要がありますが、その際には複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することが大切です。とはいえ、自分で複数の不動産会社を探すのは手間もかかります。そこでおすすめしたいのが一括査定サービスの利用です。

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