不動産を売却する際、ほとんどの場合で値引き交渉を受けると考えておきましょう。いざ値引き交渉を受け、タイミングを誤ることや、適切な対応ができないなどで購入希望者の購買意欲を損ねないように注意したいものです。そこで本記事では、不動産売却の際に値引き交渉を受けたらどうしたらよいかについて、値下げ幅の相場や妥協点の決め方について解説します。
不動産売却で値引き交渉を受けるタイミング
不動産を売却する際、設定した売却価格の通りに手放せることはあまりありません。ほとんどのケースで、購入希望者から値引き交渉を受ける場合があります。
売主はなるべく希望額で売りたいと考えますが、購入希望者は少しでも値引きして交渉したいと考えるでしょう。あまりにも交渉に応じない場合には、購入希望者の購買意欲が消失することもありえます。そのため、値引き交渉はそのバランスが重要であると言えます。
そもそも不動産売却の手続きを済ませた後、値引き交渉はどのタイミングで持ち込まれるのでしょうか。一般的には、売却予定の不動産を内見した後に、購入希望者から「買付証明書」の提出があります。買付証明書には、希望する価格が記載されており、ほとんどの場合で当初の売却希望価格を下回っています。
売却希望価格と購入希望価格の差が、話し合いをしても良いと考えられる妥当な金額の範囲内であれば、そこから値引き交渉が始まります。詳しくは後述しますが、そもそも値引き交渉を受けるかどうかについても熟慮することになります。
不動産売却時の値引き交渉は断れるか
不動産売却時の値引き交渉は、必ず受けなければいけないものではありません。売却希望価格から、あまりにもかけ離れている場合などは、交渉することが難しいケースもあります。しかし、売主は「少しでも高く売りたい」と考えますし、買主は「少しでも安く買えないか」と考えているでしょう。値引き交渉が入った場合において、その条件を聞かずにすべて断るのではなく、まずは内容を確認した上で値引き交渉を受けるかどうか考えると良いでしょう。
値引き交渉について、交渉して折り合いがつきそうな金額の許容範囲内であれば、値引き交渉を受けるのもよいでしょう。なぜなら、購入希望者は「不動産を買いたい」と考えているため、値引き交渉は売買成立のチャンスと考えることもできます。そのため、法外な値引き交渉ではない限りは、交渉に応じる方が良いと考えられます。
また、値引き交渉において、買付証明書に記載されている購入希望価格が、売却希望価格とかけ離れている場合でも、例えば一部のみ値引きするなど交渉してみるのも良いでしょう。たとえば、300万円の値引きを交渉された場合、250万で交渉してみるなど、一部値引きのような交渉も選択肢のひとつです。
いずれにせよ、交渉してくるということは成約のチャンスがあるということです。値引き交渉を前向きにとらえ、全額あるいは一部の値引き交渉に応じる流れがスムーズといえます。
不動産売却時の値下げ幅の相場
不動産売却時に値引き交渉を受けた際、値下げ幅は最大でも物件価格の10%までをひとつの目安としましょう。たとえば5,000万円の物件価格に対し、500万円までは値引き額の目安とするということです。ただし、当初の不動産価格を相場より高額に設定している場合はこの限りではありません。事情があり、当初の売却希望価格を相場より高額に設定している場合は、近隣相場に近い金額程度まで値下げ交渉が入る可能性があります。
物件価格の10%までを値下げ幅の目安とするほか、10万円から100万円までの範囲で端数をカットする方法も値引き交渉の目安のひとつです。たとえば4,980万円の物件価格の端数分(80万円)をカットし、4,900万円で値引き交渉に応じるということです。
ただし注意したいのは、この後解説する「妥協点をあらかじめ決めておく」という点です。なるべく早く売却成約したい気持ちはわかりますが、希望売却価格に満たない値引き交渉に応じる必要はありません。かえって売主が損をしてしまうことにもなりえます。
値引き交渉の妥協点の決め方
不動産売却時に値引き交渉を受けた場合に備えて、事前に妥協点を決めておくことが重要となります。前述のように、売主が希望する価格でそのまま売却できることはほとんどありません。値引き交渉があること前提に、妥協点など許容範囲について決めておくと安心です。
値引き交渉の妥協点の決め方は、主に下記3つのポイントに分けられます。
- 最低基準を決める
- 市場価格を考慮する
- 売り出し期間を踏まえる
最低基準を決める
不動産売却時の値引き交渉の妥協点を決めるうえで、売主の経済事情を考慮した最低基準は優先すべき事項です。確かに購入希望者の提示している価格で値引き交渉に応じた方が、売買契約自体はすぐに成立するでしょう。しかし、売主が想定している価格を大きく逸脱しているようでは、売却後のキャッシュフローに影響を与えてしまいます。良くないケースで想定されるのは、売却を急ぐあまり最低基準を下回ってしまうことです。こうなると、売却後の資金だけでは住宅ローン残債への充当が足りず、別の資金を準備し充当しなければならないことになります。
そこで意識したいのが、売主が不動産を売却する場合には、同時に支払わなければならない資金の確保が必要であるという点です。具体的には、前述した住宅ローンの残債への充当や、売却による譲渡所得税、仲介業者へ支払う手数料、所有権移転登記に関する登記費用などがあります。そのため、売却後に売主に支払われる売買代金は、すべてが売主の自由に使えるお金ではないということです。
これらの諸費用分や、不動産を売却することになった経緯なども踏まえ、値引き交渉における最低基準はあらかじめ設けておくようにしましょう。
市場価格を考慮する
不動産売却時の値引き交渉の妥協点を決めるうえで、市場価格を考慮することも大事です。
市場価格を考慮した妥協点の決め方が有効なのは、当該不動産の近隣における不動産取引が活発である場合です。比較対象となる市場価格がある程度わかるのであれば、こちらも参考として値引き交渉の目安にできます。
具体的には、近隣における類似不動産の取引相場に対して、売却希望の物件価格が割高なのか妥当なのかによって値引き交渉が変わってきます。近隣相場よりも割高である場合には、大幅な値下げ交渉が入ることもあります。一方近隣相場と比較しても妥当である場合には、値引き交渉を受ける可能性は低いか、金額的に少なくて済む場合が考えられます。
売り出し期間を踏まえる
不動産売却時の値引き交渉の妥協点を決めるうえで、売り出し期間を踏まえることも重要なポイントです。
不動産売却時における売り出し期間とは、売り出してからの経過期間のことです。売り出してすぐの値引き交渉であれば、その交渉を見送ったとしても、その後別の購入希望者が現れることがあるかもしれません。もちろん前述の要件をクリアしていて、値引き交渉に応じられると判断しても良いでしょう。
しかし、売り出し直後の値引き交渉で、値引き後の売買価格やその他条件から交渉が長引きそうな場合には一旦見送るという選択肢もあります。
一方で、売り出したものの長期間動きがない場合において、やっと内見や買付証明書が入った場合には、前向きに値引き交渉を進めてみると良いでしょう。値引き交渉の目安についてはさまざまですが、最大の目標は売買契約の成立なはずです。あまりにも長期間動きがない状態で、やっと入った値引き交渉に向き合うことは、売却できる大きなチャンスといえます。ただし、その場合においても売主が明確にしている最低基準額を下回るような値引き交渉にはならないようにしましょう。
希望の価格で不動産を売却するコツ
値引き交渉を受けても、希望の価格で不動産を売却するには主に下記3点のコツがあります。それぞれについて解説していきます。
- 値引きを想定した売り出し価格を設定する
- 余裕を持ったスケジュールで売却活動を始める
- 成約の実績が豊富な不動産会社に相談する
値引きを想定した売り出し価格を設定する
希望通りの価格で不動産を売却するコツとして、最初から値引きを想定した売り出し価格を設定することが挙げられます。値引き交渉が一度もなく売買契約が成立するケースは、ほとんどありません。そのため、最初から値引き交渉があることを想定した上で、売却希望価格に少し上乗せした金額で売り出すと良いでしょう。
上乗せする金額の目安は、売却希望価格の5~10%程度までが妥当です。ただし、売り出し価格が近隣相場よりも明らかに高い場合は、内見や買付証明書がなかなか入らないこともあります。そのため、近隣の不動産取引における相場なども参考としながら、不自然にならない金額で売り出すようにしましょう。
余裕を持ったスケジュールで売却活動を始める
希望通りの価格で不動産を売却するコツとして、余裕を持ったスケジュールで売却活動を始めましょう。一般的に、売り出してから実際の売買契約成立までには半年ほど時間がかかるといわれています。さらに、売却後の住み替えを理由として不動産を売りに出している場合には、その後のスケジュールにも影響してきます。
たとえば、住み替えを希望する時期の半年前頃に売りに出し、半年後には新しい物件へ引っ越しするスケジュールを立てて、売却と購入を同時進行していたとします。しかし、なかなか希望する金額での売却に至らず、購入スケジュールがずれ込むことになります。
これらのことから、ぎりぎり半年前というのではなく、余裕をもって1年前あたりから余裕を持ったスケジュールでの売却活動が望ましいといえます。
成約の実績が豊富な不動産会社に相談する
希望通りの価格で不動産を売却するコツとして、成約の実績が豊富な不動産会社に相談することがあります。購入希望の顧客とのやりとりは、実際には不動産会社が行うことになります。成約実績が豊富な不動産会社であれば、顧客のニーズを読み取り、より売主と買主の双方が納得できる売買の成約が実現できます。
成約実績が豊富な不動産会社を選ぶうえで、複数業者の一括査定が有効な手段です。なぜなら売主が多くの不動産会社をひとつひとつ調べていくのは時間のロスも大きく、確実性に欠けるからです。複数業者の一括査定であれば、条件に見合う業者の中から選べばよく、売主の負担も減り安心して選ぶことができます。
不動産の無料一括査定ならイエカカク
不動産売却の際は一括見積もりがおすすめです。イエカカクの一括見積もりなら、最大6社に無料一括査定が可能です。
イエカカクの特徴は、遠方の物件でもインターネットから査定依頼が可能である点です。その際、顧客からのクレームが多い業者などは事前に排除しているため、提示された業者のなかから安心して選ぶことができます。
イエカカクの簡単な利用方法について説明しましょう。
まずは簡単60秒で査定依頼フォームに入力し、査定を依頼した不動産業者から査定結果が届くのを待ちます。最終的に、査定結果と対応などから不動産業者を選び、売買に関する媒介契約を結びます。この3ステップだけで査定から媒介契約まで完結します。
イエカカクの利用は一切費用がかかりません。査定依頼の入力項目も「売却希望者の連絡先情報・物件の住所・築年数・居住地などの概要情報」などでよく、負担なくいつでも査定が可能です。全国対応で利用できますので、不動産の売却を考えている場合には是非イエカカクのご利用をご検討ください。