ライフステージの変化に伴い、マンションから戸建てに住み替えるか迷っている方もいるのではないでしょうか。戸建てへの住み替えには、土地や建物を自由に使えるようになるメリットがある一方で、修繕費用を自身で準備しなければならなかったり、マンション売却や戸建て購入に大きな費用がかかったりするデメリットがあります。
戸建てへの住み替えで後悔することにならないためにも、どのようなメリット・デメリットがあるのかを抑えておきましょう。
この記事では、マンションから戸建てに住み替えるメリットやデメリット、費用を解説します。後悔しないためのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
マンションから戸建てに住み替えるメリット
マンションから戸建てに住み替えるメリットは、以下の6つです。
- 維持費や固定資産税が安い
- 管理費や修繕積立金がない
- 土地の所有権を持てる
- 土地を自由に使える
- 隣の家との距離があり生活音を気にしなくていい
- 規約による縛りがない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
維持費や固定資産税が安い
戸建ての維持費や固定資産税は、マンションより安くなるのが一般的です。マンションでは、管理費や駐車場代などの維持費がかかりますが、戸建てに住み替えれば、それらの負担がなくなります。
木造で建てられることが多い戸建ては、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造といった強固な構造のマンションよりも資産価値が下がりやすいため、固定資産税が安くなる傾向があります。加えて、新築の戸建てに住み替えた場合は、新築住宅の特例を受けられるため、入居後3年間の固定資産税が2分の1に軽減できます。
管理費や修繕積立金がない
戸建てに住み替えると、管理費や修繕積立金がかからなくなります。マンションでは、清掃や設備の維持のための管理費や、大規模修繕のための修繕積立金を毎月支払わなければなりません。
管理費や修繕積立金はマンションに住んでいる限りかかりますが、戸建てに住み替えれば支払う必要がなくなります。
土地の所有権を持てる
戸建てに住み替えると、土地の所有権を持てるため、建て替えや売却を自由にできます。マンションでも敷地利用権が得られますが、ほかの入居者と共同で土地を所有するため、土地活用することは基本的にできません。
戸建てに住み替えて土地を所有できれば、好きなタイミングで売却したり、駐車場やアパート経営に活用したりすることができます。また、子どもや孫が相続後に活用することもできるので、相続財産としても利用価値が高いといえるでしょう。
土地を自由に使える
戸建てに住むと、土地を自由に使えます。駐車場を広く確保したり、ガレージを設置してバイクやサーフボードなどの大きなモノを収納したりすることもできます。
ほかにも、芝生を敷いたり、バーベキューを楽しんだりするのもよいでしょう。自分の好みや趣味にあわせて土地を自由に使えるようになるのも、戸建てに住み替えるメリットの一つです。
隣の家との距離があり生活音を気にしなくていい
マンションでは、生活音が隣人や階下の住人の迷惑にならないように配慮しなければなりません。一方、戸建ては隣の家と一定の距離が保たれているため、マンションほど生活音を気にする必要はありません。
小さな子どもがいる家庭でも声や足音を気にすることなく生活できるため、不安やストレスが軽減されるでしょう。洗濯機や掃除機、楽器演奏の音もマンションほど気にしなくてよいため、生活の自由度が高くなります。
規約による縛りがない
マンションでは、さまざまな規約が定められています。たとえば、リフォームを禁止していたり、ペットの飼育が制限されていたりするケースがあります。
一方、戸建ては規約による縛りがないため、ライフスタイルや家族構成の変化に応じて、理想の生活を実現しやすいでしょう。
マンションから戸建てに住み替えるデメリット
マンションから戸建てに住み替えるデメリットは、以下の5つです。
- セキュリティを強化する必要がある
- 修繕費は自分で準備する必要がある
- 利便性が落ちる可能性がある
- 毎日ゴミを捨てられない
- 近所付き合いで悩まされる可能性もある
それぞれ詳しく解説します。
セキュリティを強化する必要がある
マンションは、監視カメラやオートロックによって防犯対策されていますが、戸建ては自身でセキュリティを強化しなければなりません。
戸建てのセキュリティを強化するためには、防犯砂利を敷いたり、補助錠を取り付けたりするのが効果的です。ほかにも、窓を強化ガラスにしたり、人感センサーライトを設置したりして防犯性を高めましょう。
修繕費は自分で準備する必要がある
戸建て住宅では、外壁や屋根、水回りなどのメンテナンスが必要になります。戸建ては、マンションのように修繕積立金の徴収がないため、自分で修繕費を貯めておかなければなりません。
修繕が必要となったときに困らないように、無理のない範囲で計画的に積み立てておきましょう。
利便性が落ちる可能性がある
土地購入が必要になる戸建ては、人気の高いエリアに建てるのが難しいケースがあるため、 住み替えることで利便性が落ちる可能性があります。住宅が魅力的であっても、周辺環境の利便性が悪ければ生活の満足度が下がってしまいます。
住み始めてから不便さを感じないためにも、周辺にバス停やスーパー、コンビニがあるかを事前に確認しておきましょう。
毎日ゴミを捨てられない
マンションでは、敷地内に入居者専用のゴミ置き場が設置されており、いつでもゴミを捨てられる場合があります。一方、戸建ては、ゴミの種類ごとの回収日が自治体によって定められているため、好きなタイミングで捨てることが基本的にできません。
分別方法や曜日、指定ゴミ袋は自治体によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。間違った出し方をして収集されなかった場合は、一度回収して正しいルールを確認しましょう。
近所付き合いで悩まされる可能性もある
戸建ては、マンションよりも近所付き合いが密になりやすい傾向があります。良好な関係を築くことができれば、大きなトラブルに発展する心配はありませんが、なかには騒音やゴミ出し方法に敏感な近隣住民とトラブルになるケースもあります。
近所付き合いで悩まされないようにするためには、住み替える前に過去のトラブルや地域独自のルールがないかを売主や不動産会社に確認しておくことが大切です。また、引っ越してきたときに挨拶に行ったり、顔をあわせたときに笑顔で挨拶したりすることを意識しましょう。
マンションから戸建てに住み替える際にかかる費用
マンションから戸建てに住み替える際は、マンションの売却時や戸建ての購入時に費用がかかります。
ここでは、それぞれの費用を詳しく解説します。
マンションの売却にかかる費用
中古マンションを売却する際にかかる費用は、物件価格の3.5~4%程度といわれています。かかる費用の内訳は、以下のとおりです。
費用 | 費用相場 | 概要 |
---|---|---|
仲介手数料 | (売却額×3%+6万円)+消費税 ※不動産売買価格(税抜)が400万円以上の場合 | 不動産会社に売却の仲介を依頼する際の手数料 |
印紙税 | 1,000円~6万円 ※売却額50万円超~1億円以下を想定 ※2027年3月31日まで500円~3万円 | 契約書や領収書などの課税文書に課される税金 |
抵当権抹消費用 | 不動産1個につき1,000円 (司法書士報酬:1~2万円) | 金融機関から住宅ローンを借りる際に設定された抵当権の抹消費用 |
所有権移転登記費用 | 土地:固定資産税評価額×2% ※2026年3月31まで1.5% 建物:固定資産税評価額×2% (司法書士報酬:4~6万円) | 売却によって土地や建物の所有者が変わったときの移転登記費用 |
一括繰り上げ返済手数料 | 0~5万5,000円 | 住宅ローン残債を一括返済する際の手数料 |
譲渡所得税 | 非課税〜譲渡所得×39% ※2037年までは、別途復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課税される | マンションを売却して譲渡所得が発生したときにかかる税金 |
売却時に慌てることにならないためにも、マンション売却にかかる費用を事前に把握しておきましょう。
戸建ての購入にかかる費用
戸建ての購入費用は、立地や設備によって異なりますが、一般的に2,500万~5,000万円といわれています。戸建ての購入時には、これらの費用に加えて物件価格の3〜10%の諸費用がかかるといわれています。
諸費用の内訳は、以下のとおりです。
費用 | 費用相場 | 概要 |
---|---|---|
仲介手数料 | (売却額×3%+6万円)+消費税 ※不動産売買価格(税抜)が400万円以上の場合 | 不動産会社などが売買を仲介する戸建てを購入したときにかかる費用 |
印紙税 | 1,000円~6万円 ※購入額50万円超~1億円以下を想定 ※2027年3月31日まで500円~3万円 | 契約書や領収書などの課税文書に課される税金 |
不動産取得税 | 不動産の評価額×4% ※2027年3月31日まで3% | 不動産を取得した際に発生する地方税 |
所有権保存・移転登記 | 所有権保存:不動産の評価額×0.4% ※2027年3月31日まで0.15% 所有権移転:不動産の評価額×2% ※2027年3月31日まで0.3% (司法書士報酬:3万~5万円) | 所有権保存登記:所有権の登記のない不動産について、最初に行われる登記 所有権移転登記:土地や建物の所有者が変わったときの移転登記 |
抵当権設定登記費用 | 債権額×0.4% ※2027年3月31日まで0.1% (司法書士報酬:3万~5万円) | 住宅ローンを利用する際に抵当権を設定するための登記にかかる費用 |
ローン手数料 | 借入額×2.2% ※金融機関によって異なる | 住宅ローンを利用する際に金融機関に支払う手数料 |
戸建てを購入する際は、物件購入代金以外にもさまざまな費用がかかるため、資金が不足しないように計画を立てましょう。
マンションから戸建てへの住み替えで後悔しないためのポイント
マンションから戸建てへの住み替えで後悔しないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
- マンションのローンの残債は完済しておく必要がある
- 住み替えの流れを把握しておく
- 売り先行と買い先行どちらで進めるか決めておく
- 住み替えのタイミングを検討しておく
それぞれ詳しく解説します。
マンションのローンの残債は完済しておく必要がある
マンションから戸建てに住み替えるときは、マンション購入時に契約した住宅ローンを完済しておく必要があります。
住宅ローン返済中のマンションには、抵当権が設定されています。抵当権とは、住宅ローンの返済が滞ったときのために金融機関が不動産を担保にする権利のことです。
抵当権が設定されているマンションは基本的に売却することができないため、ローンを完済して抵当権を解除する必要があります。マンションの売却代金で住宅ローンを完済することもできますが、売却代金が住宅ローン残債を下回ると不足分を自己資金で補わなければならないので注意しましょう。
住み替えの流れを把握しておく
住み替えをスムーズに進めるためには、全体の流れを把握しておくことが大切です。
住み替えの基本的な流れは、以下のとおりです。
- 不動産会社にマンションの査定を依頼する
- 売却を依頼する不動産会社を選ぶ
- 売却活動をする
- マンションの売買契約を締結して引き渡す
- 戸建ての条件や予算を決める
- 戸建てを探す
- 購入する戸建てを決めて売買契約を締結する
住み替えの流れは、マンションの売却と戸建ての購入のどちらを先に進めるかによって異なります。どちらを先に進める場合でも、物件の売却と購入の2つの手続きが必要となるため、余裕のあるスケジュールで進められるようにしましょう。
売り先行と買い先行どちらで進めるか決めておく
マンションから戸建てに住み替える際は、売り先行と買い先行のどちらで進めるかを決めておくことが大切です。
売り先行とは、マンションを売却してから戸建てを購入する方法のことです。資金計画を立てやすくなる反面、マンションを売却してから戸建てに住むまでの間に仮住まいが必要になります。住み替え資金が少ない方や、好条件でマンションを売却したい方は、売り先行で進めるのがおすすめです。
一方、買い先行とは、戸建てを購入してからマンションを売却する方法です。買い先行では、マンションに住んだ状態で次に住む戸建てをゆっくり探せます。ただし、購入したい戸建てを見つけたとしても、マンション売却が進まなければ住み替えをすることができません。そのため、買い先行はマンションが売れなくても購入資金を準備できる方に向いている方法といえます。
関連記事:住み替えの方法は2つ!タイミングや費用もわかりやすく解説
住み替えのタイミングを検討しておく
住み替えのタイミングを逃して後悔しないためには、あらかじめ住み替える時期を決めておきましょう。マンションから戸建てに住み替えるには、さまざまな手続きが必要となります。
マンションを早く売却するために売却額を下げたり、戸建てを妥協して早く選んだりすることがないように、余裕をもったスケジュールを組むようにしましょう。
住み替えを検討するタイミング
住み替えを検討するタイミングの例は、以下のとおりです。
- 家族構成やライフスタイルが変化するとき
- 収入が増加したとき
- 住宅ローンが低金利のとき
子どもの誕生や進学でライフスタイルが変化するときに住み替えを検討する人が多くいます。部屋数の多い戸建てに住み替えれば、子ども部屋や仕事する部屋を確保することもできるでしょう。
収入が増加したタイミングや住宅ローン金利が低くなった時期に住み替えをすれば、住宅ローンへの負担感を小さくできる可能性があります。ただ、自身が住み替えをしたいタイミングに理想的な戸建て住宅に出会えるとは限らないので、日頃から物件情報を確認することをおすすめします。
マンションから戸建てへの住み替えがおすすめな人
マンションから戸建てへの住み替えは、以下のような人におすすめです。
- 音を気にせず生活したい人
- 土地を自由に使いたい人
- 将来的にリフォームを考えている人
隣人や上下階の住民との騒音トラブルに不安を抱えている人は、音を気にせずに生活できる戸建て住宅がおすすめです。また、庭でガーデニングやバーベキューを楽しみたい人や、子どもの成長や親との同居にあわせてリフォームをしたい人も戸建てへの住み替えを検討してみるのがよいでしょう。
マンション売却ならイエカカクがおすすめ
マンションから戸建てに住み替えると、維持費や税金が抑えられるだけでなく、生活の自由度が高くなる可能性があります。しかし、マンションがスムーズに売却できなかったり、マンションの売却価格が住宅ローン残債を下回ったりする可能性があるので注意が必要です。
マンションを売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼して適切な売却額を設定することが大切です。一括見積もりサイトの「イエカカク」を利用すれば、最大6社に査定依頼ができます。各社の査定額を比較し、より精度の高い査定額を把握して売却しましょう。