不動産の売却を考える場合、いくらで売れるか気になる方は多いでしょう。不動産は一物四価といって、同じ物件でも目的によって調べる評価額が異なります。
この記事では不動産の4種類の評価額の意味や目的、それぞれの調べ方や計算方法について詳しく解説します。売却や相続で不動産の評価額を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
不動産評価額とは
不動産評価額とはある時点における不動産の経済的な価値を金額で表したもので、一般的には固定資産税評価額を指します。しかし、不動産の評価額は売買、相続、担保評価、固定資産税評価といった、さまざまな目的で必要とされます。そのため、評価の目的や基準によって、以下のように使い分けられるのです。
不動産評価額の種類 | 使用される主な目的 |
---|---|
固定資産税評価額 | 固定資産税や都市計画税の算定 |
相続税評価額 | 相続税や贈与税の算定 |
公示地価 | 土地取引の指標として |
実勢価格 | 実際の不動産取引 |
固定資産税評価額
固定資産税評価額は不動産に対する課税の基準となる評価額で、市町村が固定資産評価基準に基づいて算定します。評価額の目安は、土地については公示地価の約70%、建物については再建築価格の50~70%程度です。
また、3年ごとに評価替えが行われ、固定資産税以外にも都市計画税、不動産取得税、登録免許税の算出基準として利用されます。固定資産税評価額は不動産の売買や相続の際にも重要な指標となるため、所有者は定期的に確認しておくと良いでしょう。
相続税評価額
相続税評価額は、相続税や贈与税を算定する際の基準となる評価額です。
土地の相続税評価額は、一般的に公示価格の80%程度の水準で評価されます。評価方法は地域によって異なり、市街地では路線価方式(国税庁が公表する路線価×土地面積)、路線価のない地域では倍率方式(固定資産税評価額×国が定めた倍率)が採用されています。
一方、建物の相続税評価額は、「固定資産税評価額×1.0」の計算式で算出した価額(固定資産税と同額)です。
相続税評価額は相続や贈与による財産の移転時に必要になるほか、不動産を担保にした融資を受ける際の参考値としても利用されます。
公示地価
公示地価とは国土交通省が毎年1月1日時点の標準的な土地の価格を調査し、3月に公示するものです。全国約26,000地点の基準地を対象に、不動産鑑定士による鑑定評価に基づいて決定されます。
公示地価は、土地取引の指標として広く利用されています。具体的には不動産の売買や賃貸借、相続、担保評価などです。
公示地価は、一般的に市場価格に近いといわれていますが、実際の取引価格とは異なる場合があるので注意が必要です。
実勢価格
実勢価格とは、実際の市場で不動産が売買される価格です。売主と買主の合意によって決まる、実際の取引価格であり、取引時点の市場の動向を最も反映した価格といえます。
不動産を売却する際は、実勢価格が最も重要な参考価格です。また、不動産投資の判断材料や、金融機関での担保評価額を算出する際の基準としても活用されています。ただし、実勢価格は常に変動するものであり、同じような物件でも取引のタイミングや条件によって異なる場合がある点に注意が必要です。
不動産評価額の調べ方と計算方法
続いて、それぞれの不動産評価額の調べ方と計算方法を見ていきましょう。
固定資産税評価額
固定資産税評価額を調べるには、主に以下の3つの方法があります。
- 固定資産税の課税明細書で確認(毎年4月頃に送付される納税通知書に同封)
- 市区町村の役所で固定資産課税台帳を閲覧
- 市区町村の役所で固定資産評価証明書を取得
土地の固定資産税の評価額の目安は公示地価の約70%といわれていますが、所在地や土地の状況によって異なります。実際の評価額の計算には、「路線価方式」と「標準宅地比準方式」という計算方法があります。
以下は、路線価方式の固定資産税評価額の計算式です。
評価額 = 固定資産税路線価 × 土地面積 × 評点(土地の状況に応じた補正率)
固定資産税路線価は、全国地価マップで調べられます。
固定資産税路線価が1㎡あたり50万円、面積が100㎡の土地の場合、評点を1とすると、固定資産税路線価は
50万円 × 100㎡ × 1 = 5,000万円
となります。
一方、建物の固定資産税評価額は再建築価格の50~70%程度といわれていますが、計算式は以下のとおりです。
評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率
再建築価格とは、同じ建物を評価の時点において新築した場合の建築費用を指します。経年減点補正率は建物の経年劣化を数値化したもので、木造建物の場合は築27年以上で0.20、非木造建物は築45年以上で0.20となります。
相続税評価額
土地の相続評価額の計算には「路線価方式」と「倍率方式」があり、ともに基準となる路線価と倍率は国税庁が公表している路線価図・倍率表で確認できます。
ここでは、路線価の見方を紹介します。例えば、以下の図の「300C」とは、1㎡あたりの路線価が30万円という意味です(「D」は借地権割合)。
路線価をもとにした相続税評価額の計算式は、以下のとおりです。
評価額 = 路線価 × 補正率 × 土地面積
補正率とは、土地の形状や立地環境により調整される乗率です。
相続税路線価が1㎡あたり30万円、面積が100㎡の土地の場合、補正率が0.9とすると、相続税評価額は
30万円 × 100㎡ × 0.9 = 2,700万円
となります。
一方、建物の相続税評価額は固定資産税評価額が基準となります。
公示地価
公示地価は、国土交通省が提供する「国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」で確認できます。国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索では過去の公示地価の推移をグラフで見ることも可能です。
公示地価は、実勢価格の目安を知るためにも利用できます。一般的に、実勢価格は公示地価の約1.1倍といわれています。
実勢価格の目安 = 公示地価 × 面積 × 1.1
公示地価が1㎡あたり25万円、面積が200㎡の土地の場合、実勢価格の目安は、
25万円 ×200㎡ × 1.1 = 5,500万円
となります。
ただし、これはあくまでも目安であり、実際の取引価格は周辺の環境や建物の状況、市場の動向などによって異なる点に注意が必要です。より正確な実勢価格を知るためには、不動産会社に査定を依頼する必要があります。
実勢価格
実勢価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」の「不動産価格(取引価格・成約価格)」で調べることができます。
「不動産情報ライブラリ」で実勢価格の参考情報が得られない場合は、固定資産税評価額、相続税路線価、公示地価などから概算できます。
例えば、土地の固定資産税評価額は公示地価の約70%といわれるため、実勢価格の概算は以下の計算式で求めます。
実勢価格 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1
なお、この計算結果はあくまでも目安にすぎません。より正確な価格を知りたい場合は、不動産会社による査定を受けることをおすすめします。
不動産評価額に関するよくある質問
ここからは、不動産評価額に関するよくある質問に回答します。
Q.不動産の価値を調べる方法は?
不動産の価値を調べる方法は、評価の種類によって異なります。固定資産税評価額は、毎年4月頃に届く納税通知書の課税明細書で確認できます。実勢価格は、国土交通省の不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索から調べることが可能です。また、公示地価は国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索で、路線価は国税庁の路線価図で確認できます。
より正確な価格を知りたい場合は、不動産会社による査定を受けることをおすすめします。
Q.評価額と不動産の売却価格に関係はある?
評価額と不動産の売却価格に関係はありますが、必ずしも一致するわけではありません。
不動産の評価額は、その不動産の価値を客観的に示す指標のひとつとなります。そのため、売却価格を決める際の参考にはなります。しかし、実際の売却価格は評価額だけでなく、さまざまな要素によって決定されるのです。
例えば、取引時期の市場動向や、売主の事情(すぐに売却したい場合など)も価格に影響します。より正確な売却価格を知るためには、複数の不動産会社による査定を受けると良いでしょう。
Q.相続した不動産の評価額はどうやって調べる?
相続した不動産の評価額は、評価の目的によって確認方法が異なります。
固定資産税評価額は、市区町村から送付される固定資産税の課税明細書で確認が可能です。また、市区町村の役所で固定資産評価証明書を取得するか、名寄帳(固定資産課税台帳)を閲覧する方法もあります。
相続税の計算に必要な評価額は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」をもとに算出が可能です。土地は路線価や倍率から計算し、建物は固定資産税評価額をもとに計算します。
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不動産の評価額は固定資産税評価額や相続税評価額、公示地価など種類によって金額が異なります。これらの評価額の把握は、売却価格の目安を知るうえで重要なポイントとなります。
ただし、実際の売却価格は市場の需給バランスや取引時期によって変動するため、より正確な価格を知るには不動産会社による査定が不可欠です。その際におすすめなのが、一括査定サービスの活用です。
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