マンションの売却を検討する中で、少しでも良い条件で売却したいと考えている方は多いのではないでしょうか。本記事では、マンション査定の方法や流れ、準備すべきこと、査定のポイントなどを詳しく解説します。査定への理解を深めることで、より好条件でマンションを売却できる可能性が高まるため、ぜひ参考にしてください。
マンション売却時の査定方法・流れ
マンション売却時の査定方法には、机上査定と訪問査定の2種類があります。
種類 | 概要 | 期間の目安 |
---|---|---|
机上査定 | オンラインや電話で行う簡易査定。物件の基本情報をもとに算出。 | 即日〜数日 |
訪問査定 | 不動産会社の担当者が実際に物件を訪問して行う詳細な査定。 | 1週間 |
査定の流れは以下の通りです。
- 机上査定を依頼して簡易的な査定額を確認する
- 訪問査定を依頼して訪問日を調整する
- 査定を受ける(立ち会う)
- 査定結果の説明を受ける
市場価格を把握するという査定の目的を達成するためにも、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。スムーズかつ好条件で売却するためにも、各社のサービス内容や強み、担当者との相性などを総合的に評価して、信頼できる不動産会社を選びましょう。
マンション査定を受ける前に行うべきこと
マンション査定を受ける前に、以下の準備をしておくことで、正確な査定結果を得られるほか、スムーズな売却活動に繋がります。
- 間取り図など資料の準備
- 物件に関する情報の整理
- 最低限の掃除や片付け
- 売却価格の相場の調査
ここからはそれぞれの内容について詳しく解説します。
間取り図など資料の準備
マンション査定を受ける前に、間取り図や購入時のパンフレット、重要事項説明書などの資料を準備しておきましょう。間取り図などの資料は、不動産会社が正確な査定を行うための情報となります。
なかには所有者でなければ持っていない書類や、不動産会社だと取得に時間がかかる書類もあるため、事前に準備しておくと査定がスムーズに進みます。特にリフォームをしている場合は、所有者しか書類を持っていないため準備しておきましょう。
なお、資料は最新のものを準備する必要があります。マンションでは管理費・修繕積立金が変更となっている場合もありますし、総会で重要なことが話し合われている可能性もあるためです。
物件に関する情報の整理
書類の準備に加え、物件の情報も整理しておきましょう。不動産会社に物件の特徴や価値を的確に伝えることで、適正な査定価格がわかることに加え、売却時のアピールポイントを考えられます。
具体的に整理するべき情報は以下の通りです。
分類 | 内容 |
---|---|
基本情報 | 所在地、築年数、専有面積、間取り、階数、向き、バルコニーの有無 |
管理情報 | 管理費、修繕積立金の金額、大規模修繕の履歴と今後の予定 |
設備・改修の状況 | 最近行ったリフォームや設備の更新、内装の状態、水回りの状況 |
周辺環境 | 近隣の学校、商業施設、公園などの立地条件 |
権利関係 | 駐車場や専用庭の有無、トランクルームなどの専用利用施設 |
住宅ローン | 現在の住宅ローン残高 |
情報を整理する際のポイントは以下の通りです。
- 正確性を重視する:曖昧な記憶や推測ではなく、確実な情報のみを整理しましょう
- 書類で裏付ける:可能な限り、管理組合の書類などで情報を裏付けましょう
- 時系列で整理する:リフォームや修繕の履歴は、いつ行ったかを明確にしておきましょう
- 個人的な思い入れは区別する:客観的な事実と個人的な思い入れは明確に区別しましょう
情報を整理して正しく伝えることで、複数社に査定を依頼するときでも一貫した情報提供が可能となります。
最低限の掃除や片付け
部屋が散らかっているという理由で査定額が下がることはありませんが、物件の魅力をわかってもらうためにも、査定を依頼する前には最低限の掃除や片付けをしておきましょう。
具体的には以下の通りです。
- 床、壁、窓の汚れを落とす
- キッチン、浴室、トイレを洗浄する
- 不要物の整理を整理してスッキリさせる
- クローゼットや押入れの中を整頓し、収納量がわかるようにする
掃除や片付けをしていると、売却前に補修しておくべきか悩む箇所も見つかるでしょう。しかし、売却時の補修・リフォームは必ずしも売却価格に反映されるとは限らないため自分の判断で実施するのはおすすめできません。最終的に売却を依頼する不動産会社の担当者と相談しましょう。
売却価格の相場の調査
マンション査定を受ける前に売却価格の相場を調べておきましょう。相場を知ることで、不動産会社の査定額が適正かどうかを判断する基準ができます。また、自身の期待値と市場の実態とのギャップを事前に把握することで、より現実的な売却計画を立てられます。
なお、相場を調査する際は、同じエリアの類似物件の価格を確認しましょう。具体的におすすめなのは、以下2つのサイトを活用することです。
レインズ・マーケット・インフォメーションは、公益財団法人東日本不動産流通機構が運営する公式サイトで、不動産流通市場の動向を月次で公開しています。中古マンションの取引動向を確認できるため、売却価格の設定や市場動向の理解に役立ちます。
不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営する公式サイトです。全国の不動産取引や価格に関する様々な統計情報を提供しているほか、実際の取引価格を調べられます。
また、不動産ポータルサイトなどで実際に売りに出されている物件からも売却相場を確認することで、トレンドを把握できます。
ただし、不動産ポータルサイトで調べられるのは売り出し価格である点に注意しましょう。中古不動産の取引では、価格交渉が入ることも多いため、実際の成約価格とは異なることがあります。
マンション査定で見られるポイント
どういった基準でマンションの査定価格が算出されているのかを知るためにも、マンション査定で見られるポイントを押さえておきましょう。
以下は、不動産流通の促進に関する調査研究の実施や価格査定マニュアルの作成を行っている公益社団法人不動産流通推進センターが公表する「価格査定マニュアル」に記載されている、査定の評価基準です。
【マンション査定の評価内容】
項目 | 考え方 |
---|---|
経過年数 | 築年月から査定年月までの年数 |
交通の便 | 駅までの徒歩圏・バス便の利便性を評価 |
立地条件 | 周辺環境、店舗、公共施設への利便性を評価 |
住戸位置 | 所在階、開口部の方位、日照・通風の良否を評価 |
専有部分 | 室内の状況、住戸のゆとり、騒音振動、眺望景観等を評価 |
修繕・管理 | 修繕計画、修繕積立金負担額、管理費負担額を評価 |
保守・清掃状況 | 保守・清掃の状況を評価 |
管理員の勤務形態 | 管理員の勤務形態、管理受託形態を評価 |
敷地 | 土地の権利(所有権等)を評価 |
建物部分 | 建物の外観・エントランスの状況、耐震・省エネ性能を評価 |
設備・施設部分 | セキュリティ・インターネットの状況を評価 |
参照:公益社団法人 不動産流通推進センター|不動産売却価格ご提案書 サンプル
それぞれの内容について解説します。
経過年数
マンションの経過年数は査定額に大きく影響します。
不動産流通機構が公表している「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」によると、中古マンションの築年帯別平均価格(万円、㎡)は以下の通りです。
価格(万円) | 面積(㎡) | ㎡単価(万円) | |
---|---|---|---|
築0〜5年 | 7,077 | 62.87 | 112.55 |
築6〜10年 | 6,655 | 66.19 | 100.54 |
築11〜15年 | 5,932 | 68.19 | 86.99 |
築16〜20年 | 5,509 | 70.49 | 78.15 |
築21〜25年 | 4,887 | 70.60 | 69.23 |
築26〜30年 | 3,344 | 64.94 | 51.48 |
築31〜35年 | 2,303 | 57.66 | 39.94 |
築36〜40年 | 2,672 | 57.63 | 50.49 |
築41年〜 | 2,260 | 56.00 | 46.37 |
このデータを見ると、築26年以上になると価格が大きく下落していることがわかります。理由としては、築年数の経過による資産価値の減少、大規模修繕の必要性が高まり、負担金が生じる懸念などが挙げられます。
ただし、築年数だけでなく、管理状況や室内状況を総合的に踏まえて算出されるため、適切に管理されているマンションは経年による価値低下を最小限に抑えられる可能性があると考えましょう。
交通の便
最寄り駅の利便性や距離が評価のポイントになります。一般的に、駅から徒歩10分以内の物件は高評価を受けやすく、特に徒歩5分以内であればさらに価値が上がります。また、複数路線が利用可能な場合や、バス路線が充実している場合もプラス評価となるのが一般的です。
ただし、駅から近いと騒音などのデメリットもあるため、総合的に判断されます。また、地方のように車社会の地域では、駅までの距離が都心部ほど重視されないケースもあります。
立地条件
商業施設や教育機関、医療機関などの生活利便施設が近くにあることはプラス評価になります。
特に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアが徒歩圏内にあることは重要です。また、緑地や公園が近くにあることも、居住環境の良さとして評価されます。
一方で、工場や線路近くなど騒音源が近いとマイナス評価になることもあると考えましょう。さらに、周辺の開発計画や将来的な発展性も考慮されます。良好な住環境と利便性のバランスが取れた立地は、高い評価につながります。
住戸位置
マンション内での住戸位置は、日当たりや眺望、騒音などに影響を与えるため、査定額に反映されます。
一般的に、高い評価を受けるのは以下のような物件です。
- 南向き:は日当たりが良いため
- 高層階:眺望が良く、プライバシーも確保しやすいため
- 角部屋:採光や通風が良好なため
一方、低層階でも、専用庭付きなどの特徴があればプラスになることがあります。最上階や最下階、日当たりの悪い北向きなどは、マンション毎の特性によって評価が分かれます。
専有部分
専有部分の広さや間取り、設備のグレード、内装状態などが評価のポイントになります。
一般的に正方形や長方形など、家具が配置しやすいシンプルな間取りのほうが需要があり、高く評価される傾向にあります。内装や設備に関しては、リフォームが必要と判断されるかどうかがポイントとなると考えましょう。
とはいえ、査定の前に修繕する必要はありません。不動産会社のサービスで無料クリーニングなどを実施している会社もあるため、どうすればより好条件で売却できるかを相談しましょう。
修繕・管理
マンションの修繕状況と管理体制は、建物の長期的な価値の維持や暮らしやすさに関係するため、査定額に影響します。
具体的には、大規模修繕工事の有無や財務状況などです。適切な時期に大規模修繕が実施されていること、そして将来の修繕計画が明確であることがプラス評価になります。また、修繕積立金が適切に積み立てられているか、財務状況が良好であるかなども見られています。
保守・清掃状況
マンションの保守・清掃状況も一部査定評価に組み込まれる場合があります。
例えば、共用部分(エントランス、廊下、エレベーターなど)が清潔に保たれているか、定期的な清掃が行われているかなどです。
ただし、戸建て住宅と違い、保守・清掃状況は個人でどうにかできるものではありません。保守・清掃が行き届いていない場所があると感じた際は、管理組合にその旨を伝えたり、管理組合の総会に出席して意見を述べましょう。
管理員の勤務形態
管理員の勤務形態やサービスの充実度も査定時の評価ポイントです。
管理員の勤務形態は常駐・日勤・巡回といった種類があり、管理員が長い時間滞在している勤務形態のほうが評価は高くなります。ただし、マンションの規模によっては日勤や巡回管理で十分に足りる場合もあるため、大きな差が出る部分ではないと考えましょう。
なお、勤務形態のほか、コンシェルジュサービスの有無などが評価ポイントです。
敷地
マンションは敷地権と言い、土地と建物が一体になって登記されているのが一般的です。そのため、敷地面積が広いマンションは、マンション全体として価値が高くなる傾向にあります。土地の権利も重要で、所有権が最も価値が高く、借地権の場合は評価が下がる傾向にあります。
また、敷地が広いと将来的な建て替えの可能性高まるほか、建て替え案の選択肢が増えるため、価値が上がります。
建物部分
建物部分の状態や設備は、査定額に影響します。
具体的には、耐震性能です。日本の建築基準法では、1981年5月31日以前に建築確認が取られた建物を旧耐震基準としており、現行の新耐震基準とは異なる基準で建てられています。そのため、現行の基準を満たしているかどうかを判断するには耐震診断を実施しなければいけません。
耐震診断を実施した結果、現行の基準を満たしていないと判断された場合、耐震補強工事などが必要となります。耐震診断をした後に適合していないと判断されたものの、資金不足などを理由に耐震補強工事を行っていないと、住宅ローンを組めないケースが多く、査定額に大きく影響するのです。
設備・施設部分
マンションの設備・施設部分は、居住者の生活の質に直接関わるため、査定額に影響を与えます。
例えば、共用施設(駐車場、駐輪場、ゴミ置き場など)の充実度や使いやすさ、セキュリティなどです。
特に、都心部では平置き駐車場や機械式駐車場の台数や使用料なども重要なポイントです。また、防犯カメラやオートロックシステムなどのセキュリティ設備の有無と質も高く評価されます。
さらに、宅配ボックスや一部のマンションで見られるフィットネスルーム、集会室、ゲストルームなどの特別な共用施設は、物件の魅力を高める要素として評価されます。
マンション査定を受ける際の注意点
マンションの査定を受ける際は、以下のことに注意しましょう。
- 複数社に依頼して比較する
- 査定額が適正か確認する
- 査定額だけで売却を決めない
それぞれについて解説します。
複数社に依頼して比較する
マンション査定を受ける際、複数の不動産会社に依頼することで、より客観的で信頼性の高い査定額を把握できます。1つの会社のみに依頼すると、その会社の主観や営業方針に偏った査定結果となる可能性があり、査定価格が適切であるかの判断ができません。
複数社に依頼することで、各社の査定基準や市場分析の違いがわかり、より広い視点で物件の価値を評価できます。また、各社のサービス内容や強み、担当者との相性なども比較できます。
上記の理由から、マンション査定は3社以上の不動産会社に依頼するのがおすすめです。しかし、仕事等で忙しく各社に連絡をする時間が取れない方もいるでしょう。そのような方には、一括査定サービスがおすすめです。
一括査定サービスの「イエカカク」では、厳選された優良な不動産会社の中から最大6社に一括で査定を依頼できます。47都道府県に対応しているため、マンションの売却を考えている方は、ぜひご活用ください。
査定額が適正か確認する
適正な価格設定ができないと、売却期間が長引いてしまったり、高値成約の機会損失となったりする恐れがあるため、慎重に判断する必要があります。
具体的には、複数の不動産会社から得た査定額を比較し、その平均値や中央値を把握しましょう。この時、極端に高い査定額には注意が必要です。なぜなら、売却を任せてもらおうと、あえて相場よりも高い価格を提示している可能性があるためです。
不動産会社による査定が適正かどうかを大まかにでも判断するために、以下のことを行いましょう。
- 各不動産会社に査定根拠の詳細説明を求める
- 近隣の類似物件の売却事例と比較する
- 国土交通省や不動産情報サイトの公開データを参照する
最終的には、市場動向や自身の売却理由・緊急度なども考慮し、総合的に判断することが重要です。適正な査定額を見極めることで、スムーズかつ好条件での取引が実現できる可能性が高まります。
査定額だけで売却を決めない
査定額だけで売却を依頼する不動産会社を選ぶのは危険です。査定額は売却の目安にはなりますが、必ずしもその金額で売却できるとは限りません。
市場の状況、買主の反応、交渉の進展によって実際の売却価格は変動する可能性があります。前述の通り、あえて相場よりも高い価格を提示する悪質な不動産会社もあるため、注意しましょう。
売却を依頼する不動産会社を選ぶ際は、その不動産会社の実績やサービス内容、担当者との相性をもとに、総合的に判断する必要があります。
マンション査定に関するよくある質問
ここからは、マンション査定に関するよくある質問を紹介します。
マンション査定は匿名でできる?
マンションの匿名査定は、近年一部の不動産会社やオンラインサービスで提供されている査定方法です。この方法では、売主の個人情報を開示せずに概算の査定額を把握できます。
メリット | デメリット |
---|---|
・プライバシーが保護される ・気軽かつスピーディーに相場を把握できる ・セールスを回避できる | ・精度が高くない ・物件の特徴が反映されない ・売却のための具体的なアドバイスを受けられない |
匿名査定は、初期段階での相場把握には有効ですが、最終的な売却判断をする際は訪問査定の実施をおすすめします。
マンションの一括査定にデメリットはある?
マンションの一括査定は便利なサービスですが、いくつかのデメリットも存在します。具体的には以下の通りです。
- 複数の不動産会社から一斉に連絡が来る
- セールスを受ける
- 査定を依頼できる不動産会社が限られる
- 地域によっては査定対象外の場合がある
- すべての不動産会社が信頼できるとは限らない
不動産一括査定サイトにも特徴があるため、査定を依頼する前に各社の特徴をリサーチしてみましょう。
マンションの無料一括査定ならイエカカク
マンションを売却する際は、複数の不動産会社から査定を受けることが重要です。しかし、一括査定には、不動産会社の質や対応エリアの懸念もあります。
上記のような心配がある方は、ぜひ「イエカカク」をご活用ください。
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