不動産売却の成功は内覧にかかっていると言っても過言ではありません。内覧で良い印象を与えられれば売却につながりやすい反面、内覧に失敗してしまうと売却が難しくなってきます。
とはいえ、どのように内覧を進めればいいのか分からないという方も多いでしょう。この記事では、不動産売却における内覧の重要性や準備や対応のコツについて、分かりやすく解説します。
不動産売却における内覧の重要性
内覧とは、不動産の購入希望者が実際に不動産を訪れて内部を確認することです。
内覧は、購入希望者が実際の物件を見るため購入判断の大きな決め手となります。購入希望者は、それまで物件の情報をインターネットや資料などで得ているでしょうが、情報と実際に見た物件では大きく異なるものです。部屋の印象や広さ・明るさ、周辺環境など自分の目で見なければ分からないことも多くあります。そのため、購入希望者のほとんどは内覧して物件をチェックします。
内覧で好印象を与えられれば、購入意欲を高めることにつながります。反対に、内覧時に悪い印象を持ってしまうと、情報ではいい物件でも購入したいとは思われないでしょう。内覧時の悪い印象は売主に対しても抱かれやすく、この売主と交渉したくないともなりかねません。
また、内覧は売主にとっても物件をアピールする重要なポイントです。情報だけでは伝えらない物件の魅力を購入希望者に直接伝えることで、購入判断の大きな後押しになる可能性があります。
このように、内覧は不動産売却の可否を左右する重要なポイントです。内覧に向けた準備や当日の対応のポイントを押さえて内覧に臨むことで、スムーズな売却が期待できるでしょう。
不動産売却における内覧のタイミング
一般的に内覧は、「売却活動中」に行われます。ここでは、不動産売却の全体の流れと内覧のタイミングを確認していきましょう。不動産売却の大まかな流れは以下の通りです。
- 売却の事前準備をする
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を展開する
- 購入希望者と条件交渉する
- 買主と売買契約を結ぶ
- 決済・引き渡しを完了する
- 売却後に確定申告する
まずは、相場の調査や必要書類の準備など事前準備をしたうえで、不動産会社の査定を受けます。査定の結果、売却を依頼する不動産会社を見つけたら不動産会社と売買契約を結んで、売却活動が始まります。
売却活動では、チラシやポータルサイトへの掲載・問い合わせなどが不動産会社によって行われますが、このタイミングで購入希望者から問い合わせがあると内覧に進みます。
内覧後に、購入希望者が購入に前向きなら条件の交渉を行い、合意できれば売買契約です。売買契約後は代金が支払われ、物件の引き渡しとなります。
一般的に、不動産売却では上記の流れで3カ月~半年ほど時間がかかります。物件の状態が悪い・内覧対応が悪いなどで売却に時間がかかれば、それ以上になるケースも少なくないでしょう。
不動産売却の内覧の準備方法
内覧を成功させるには、「準備」と「当日の対応」が重要です。まずは、準備について見てきましょう。内覧を成功させる準備のポイントは以下の2つです。
- 部屋の清掃・整理整頓
- 住みやすさをイメージさせる工夫
部屋の清掃・整理整頓
内覧で室内の印象を良くするには、徹底した清掃と整理整頓が欠かせません。きれいに掃除され整理整頓された室内と私物が散乱して汚れもある室内では、どちらが購入意欲を高めるかは言うまでもないでしょう。ある程度の生活感は生活イメージをつけるのに役立ちますが、生活感が伝わりすぎると購入意欲も減ってしまいます。
そのため、内覧前には入念に掃除を行い、荷物も整理整頓して室内をキレイでスッキリ見せることが重要になってくるのです。室内全体的に清掃・整理整頓するのは前提ですが、とくに以下のポイントは押さえておきましょう。
- 水回り・床・窓の清掃
- 不要な物の処分・収納スペースの確保
- 照明を明るくして開放的な空間を演出
水回り・床・窓の清掃
キッチンやバス・トイレといった水回りは、内覧者も重点的にチェックするポイントです。水垢やぬめりを落としてピカピカに磨いておきましょう。自分の掃除では落としきれない場合は、ハウスクリーニングを検討することをおすすめします。
また、床や窓もチェックされる部分です。床面のきれいさは広さの印象にもかかわってくるので、きれいにするだけでなくできるだけ物を置かないようにして露出度を高めることをおすすめします。
窓もピカピカにしておくことで採光性がアップし、室内を明るく見せやすくなります。
不要な物の処分・収納スペースの確保
室内に物が多いとそれだけ部屋が狭く見えてしまいます。売却後には引っ越しすることになるので、内覧を機に整理整頓を進めましょう。余分な荷物はトランクルームなどの一時預かりを利用して、部屋の中をスッキリ見せるのもおすすめです。
不要なものをとりあえずクローゼットなどにしまっておくのはおすすめできません。収納力は内覧者もチェックします。クローゼット内も見られる恐れがあるので、収納が見られてもいいように整理整頓しておきましょう。
照明を明るくして開放的な空間を演出
室内が明るく開放感があると部屋も広く感じられます。照明を明るくする・カーテンを開放する・窓をピカピカにするなど室内を明るくできるようにしましょう。窓際にはできるだけ物を置かないようにすれば、明るさだけでなく開放感の演出にもつながります。
住みやすさをイメージさせる工夫
内覧では、いい意味での生活イメージを内覧者に持ってもらうことが重要です。「この家で住んでみたい」と思わせられれば、購入につながりやすくなります。自分が内覧者の気持ちになって、「買いたくなるような素敵な家」を考え演出することが大切です。
住みやすさをイメージさせるには、以下のような点を工夫するとよいでしょう。
- 家具の配置やインテリアの見直し
- 生活感を残しつつ動線を確保
- 庭を手入れ・花を飾る
家具の配置やインテリアの見直し
家具やインテリアは部屋のおしゃれさを演出する重要なポイントです。年季の入った日常感あふれる家具やインテリアは撤去する、配置を見直して部屋を広く演出するといったことも大切です。
また、カーテンも見落としがちなので注意しましょう。洗濯するだけでも印象はかなり変わってきます。古臭いカーテンであれば、外してしまうことも検討するとよいでしょう。おしゃれな演出が自分では無理という場合は、ホームステージングを検討するのもおすすめです。
生活感を残しつつ動線を確保
物があふれかえって床に散乱しているというような生活感はNGですが、素敵なイメージのわく生活感は重要です。内覧者は、内覧しながら「自分がこの家でどう生活するか」をイメージしていきます。モデルルームをイメージすると分かりやすいでしょう。
この家での具体的な生活イメージができ、かつワクワクするような部屋を演出することが大切です。また、生活動線や家事動線もチェックされるので、日常生活の動きや家事の動きがスムーズかも確認しておきましょう。
庭の手入れ・花を飾る
庭がある家の場合、庭もチェックされます。雑草が生え放題・ゴミが散れているといった庭では室内が良くても全体の印象は悪くなるでしょう。
また、室内にちょっとした花を飾るのもおすすめです。飾られた花はおもてなしの気持ちを表し、内覧者の気持ちを和ませるのにも役立つでしょう。
内覧の日程の決め方
内覧日程は基本的に内覧希望者の要望を優先させます。一般的には、週末の日中になるケースが多いでしょう。日程調整ができずに内覧を断ってしまうと、そのまま購入機会を逃してしまうことにつながるため、できるだけ希望者の要望で内覧できるよう、スケジュールに余裕を持たせておくことが大切です。
また、できれば内覧は日中の時間帯で行うことをおすすめします。内覧希望者は日当たりも気にするものです。夜間など日が当たらない時間帯で内覧してしまうと、日当たりを気にする希望者の不安が解消されずに購入につながりにくくなります。
ただし、どの時間帯の日当たりが良いかは物件によって異なります。自分の物件をより条件良く見せられる時間帯を把握し、事前に不動産会社に相談しておくようにしましょう。ある程度希望の時間帯を伝えておけば、不動産会社の担当者も内覧者の希望を優先しつつベストな時間帯を調整してくれます。
内覧当日の対応のコツ
内覧はどんなに準備を入念にしていても、当日の対応で失敗してしまうと印象アップにはつながりません。当日は以下のようなコツを押さえて、内覧希望者が気持ちよく内覧できるように対応しましょう。
- 清潔感のある格好で出迎える
- 購入希望者の立場に立って案内する
- 積極的にアピールしすぎない
- 直接契約に関わる口約束をしない
- 値引き交渉は冷静に対応する
清潔感のある格好で出迎える
だらしない恰好やよれよれの服のまま出迎えてくる売主に、買主は良い印象は抱きません。家は高額な買い物でもあるため、できるだけ信頼できる売主から買いたいものです。売主の第一印象はやはり見た目も大きく左右します。
内覧当日はビジネスライクとまではいいませんが、清潔感のある恰好で出迎えましょう。恰好だけでなく対応も明るさや丁寧さを心がける必要があります。「この人からなら安心して買える」と思われるような恰好・態度であることが大切です。
また、スリッパを用意しておく・ペットや小さい子どもは預けておくなどの配慮も大切です。スリッパを忘れてしまう内覧者は少なくありません。
ペットにアレルギーや苦手意識を持つ方もいるでしょうし、小さな子供が騒いでいるとゆっくり見ることもできません。ちょっとした配慮であっても内覧者が心地よく見られるようにしておくことで、内覧者の印象アップにつながるでしょう。
購入希望者の立場に立って案内する
購入希望者が何を知りたいかを常に考えることも重要です。
住んでいる人にしか分からないことは多くあります。物件の魅力や周辺情報などネットの情報だけでは分からないことを教えると意外と喜ばれるものです。近所付き合いの情報も気になっている方は多いので、近隣住民のプライバシーに配慮した内容で伝えてあげるとよいでしょう。
なかには、予想もしない質問でどう答えればいいのか分からないこともあるものです。答えが分からない質問は正直に分からないで問題ありませんが、質問への回答がなければ内覧者の疑問は解消されません。事前に内覧者はどんなことを聞きたいのか予想して、いくつか質問とその答えを用意しておくことをおすすめします。
また、どのような質問であっても丁寧に正直に答えることが大切です。答えるとマイナスになりそうな質問であっても、嘘の情報を伝えるのはNGです。嘘の情報で売却してしまうと、後々トラブルになるので注意しましょう。
積極的にアピールしすぎない
内覧時に物件の魅力をアピールしたいところですが、あまり積極的にアピールするのはむしろマイナス印象になりかねません。
内覧者は基本的にじっくり自分たちのペースで室内を見学したいものです。売主が終始張り付いて、ずっとアピールしてくると室内を思うように見学できずに、満足いく内覧とはならないでしょう。
アピールはここぞというポイントに絞って、あとは聞かれたことに応える程度が適切といえます。アピールポイントは事前に書き出しどこをアピールするかを決めておくと、効果的なアピールができるでしょう。
直接契約に関わる口約束をしない
内覧時には契約に関わることを買主に直接伝えることはおすすめできません。たとえ、約束とも言えないような曖昧な表現や軽い気持ちでの約束であっても、後々トラブルになりかねないものです。
中途半端に内覧者に期待を持たせるような発言をしてしまったことで、揉めて売却できないケースは珍しくありません。とくに、不動産会社の担当者のいないうちに買主と口約束してしまうと、大きな問題になるので注意しましょう。
値引き交渉は冷静に対応する
内覧時に内覧者の方から値引き交渉を受けるケースもあります。値引き交渉を受けた場合も安易に回答するのは控えましょう。
また、過度な値引きを持ち掛けられても感情的になるのは良くありません。値引き交渉を受けた場合、その場で不確実な回答をするのではなく一度持ち帰って冷静に考え回答することが大切です。前述のとおり、曖昧に応えてしまうと「言った」「言わない」でトラブルになりかねないため注意しましょう。
値引きに応じるかどうかは売主が自由に決めてよいものですが、あまりにかたくなに応じないのも避けられやすくなるので注意が必要です。とはいえ、必要以上に値引きしてしまうと住宅ローンが完済できないなど不都合が生じかねません。いくらまで値引きに応じられるかは、事前に明確にしておくと損することなくスムーズな売却が期待できるでしょう。
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