一棟アパートはいつ売却すればよい?流れや価格の計算方法を解説

一棟アパートを売却するにあたり、売却のタイミングや費用、手続きの流れについてご不安はありませんか。本記事では、手続きの流れや売却価格の目安、必要となる費用や税金などに関して具体的に紹介しています。築30年以上の古いアパートを売却する方法についても解説していますので、一棟アパートの売却を検討している人はぜひお読みください。

目次

一棟アパートの売却に適したタイミング

一棟アパートを売却するタイミングは、売却価格に大きく影響します。そこで、どのようなタイミングで売却すればよいのかについて、目安となるタイミングのうち主な4つを紹介します。

  • 築年数が20年を経過するまで
  • 満室になっているとき
  • 地価が上がったとき
  • 減価償却が終了したとき

築年数が20年を経過するまで

一般的に、アパートは築年数が長くなるほど売却価格は減少していきます。公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」によると、これまでに成約した物件の平均築年数は20年より前であることがわかります。

つまり、目安として築年数が20年を経過するまでであれば、売却しやすいと考えられます。

満室になっているとき

アパートの居室が満室になっていると、収益性の高いアパートであると評価され、売却価格が通常より高く算出されます。

つまり、満室で売却するケースでは、周辺物件よりも高く売却できる可能性があります。関連して、満室での売却では、購入希望者が早期に見つかりやすいというメリットも考えられます。

地価が上がったとき

地価(土地の価格)が上がると、一棟アパートも高く売れやすい傾向にあります。地価が上がる原因として、主に次の3つがあります。

  • 国内景気の上昇
  • アパート周辺に大規模商業施設や再開発が予定されている
  • 人口が増加している人気のエリアに所在している

地価が上がるタイミングは、見極めも大事です。たとえば大規模商業施設や再開発の予定がある場合、売却予定時期によっては、手放した後にさらに値上がりすることもあります。そのため、これらの情報が公表された時点で売却に向けてリサーチをはじめ、長期的な視点で売却のタイミングを考えるとよいでしょう。

減価償却が終了したとき

減価償却とは、アパート購入にかかる建物価格や諸費用を分割して経費計上できる会計処理のことです。減価償却期間中は、利益から経費計上ができるため節税効果が期待できます。減価償却期間を過ぎると、利益から差し引ける経費が少なくなるため、課税額が増加することになります。これらのことから、この減価償却が終了したときや、終了する直前のタイミングで売却することで、利益率や節税面での効果が高いといえます。

一棟アパートを売却する流れ

一棟アパートを売却する流れは、次の4ステップです。それぞれ流れに沿って解説していきます。

一棟アパートを売却する流れ
  1. 不動産会社に査定を依頼する
  2. 媒介契約を締結する
  3. 売却活動を行う
  4. 売買契約を締結して物件を引き渡す

①不動産会社に査定を依頼する

一棟アパートの売却を検討しはじめたら、まず不動産会社に査定を依頼します。注意点として、複数社から相見積もりを取り寄せるようにしましょう。

相見積もりを取ることで、希望する金額により近い査定をした会社に依頼することができます。また、見積もりの際の対応などから信頼できる会社か事前に知ることもできます。査定額や対応について比較するためには、より多くの見積もりを取った方がよいといえます。一括査定であれば、簡単に複数社に見積もりを取れるため利用を検討することをおすすめします。

②媒介契約を締結する

どの不動産会社に売却を依頼するか決めたら、次は媒介契約をどうするか検討します。

媒介契約は不動産会社と売主との間で結ぶ契約で、どのような売却活動を依頼するかについて取り決めます。媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。

一般媒介契約は、媒介契約の期間の定めがなく、複数の不動産会社と重ねて契約することができ、売主本人が顧客を探すこともできます。

専任媒介と専属専任媒介は、最長で3か月の媒介契約期間が定められており、自動更新はありません。専任媒介は、一社のみとの媒介契約となりますが、売主本人で顧客を見つけることは可能です。専属専任媒介は、一社のみで売却活動をします。売主が顧客を探すことはできません。3つのうちどれを選ぶかは、売却活動の時期や環境などに応じて、不動産会社と相談のうえ決めるとよいでしょう。

③売却活動を行う

媒介契約を結んだ不動産会社は、売却活動を開始します。不動産ポータルサイトへの掲載や、チラシや広告へ掲載し広く売主を探すことになります。

売却活動にあたり、まず売却価格を決定することになります。その際、購入希望者から値引き交渉があることを前提にした価格設定をしておくのが一般的です。周辺の一棟アパートの相場などから、妥当な価格を設定する必要がありますが、購入者がなかなか見つからない場合には、売却価格を見直すケースもあります。その際に、想定していた売却価格をなるべく下回ることがないように、当初の売却価格の設定は重要です。

④売買契約を締結して物件を引き渡す

購入者が見つかったら、売買契約を締結します。売買契約では、まず購入者が売買代金の一部として手付金を支払います。一般的には代金の5~10%程度が目安となります。

売買契約を結んだ後、売主はアパートを引渡すための準備に入ります。購入者はローンの本審査の手続きを行います。それぞれが完了したら、売買契約で定めた期日内に決済・引渡しを実施し、アパートの所有権は正式に売主から購入者へ移転することになります。実際には、不動産会社、売主、購入者、ローンを引き受けた金融機関担当者、登記を行う司法書士などが同日に集まり手続きや決済を行うため、引き渡しにかかる手続き自体は一日で終わることがほとんどです。

一棟アパートの売却価格の計算方法

一棟アパートの売却では、どのように売却価格が決められるのか気になるところです。ここでは一棟アパートの売却価格の計算方法について、主要となる3つの算出方法を紹介します。あくまでも評価する際の目安となる方法であり、顧客が自ら計算することはありません。売却価格を算出するにあたり、以下のような評価方法があるという参考としてご参照ください。

  • 収益還元法
  • 原価法
  • 取引事例比較法

収益還元法

収益還元法とは、一棟アパートを賃貸すると仮定して、将来どれくらいの収益力があるかに基づいて価格を算出する方法です。主に投資用の収益物件で使われる手法で、さらに直接還元法とDCF法の2つの算出方法に分かれます。

直接還元法は、年間で受け取る賃料など「純利益」を「表面利回り」で割って収益価格を求めます。一方DCF法は「Discounted Cash Flow」の頭文字で、「値引きしたキャッシュフロー」という意味です。査定する物件の価値に対して、今後想定されるリスクを考慮した算出することが期待できます。

原価法

原価法とは、一棟アパートの建物を取り壊して、同じ建物をもう一度建てた場合の原価を計算することから始まります。次にその価格から、建物や設備などの老朽化した部分を経過年数に応じて差し引き、おおまかな査定価格を算定します。

  1. 一棟アパートを取り壊して再建築した場合の原価を算出
  2. 1の再建築価格から、前建物の老朽化部分価格などを差し引く
  3. おおまかな算定価格が算出される

取引事例比較法

取引事例比較法とは、一棟アパートと条件が近い類似物件の成約事例を集めて比較しながら売却価格を算出する方法です。

具体的には、1平方メートルの単価を基本として築年数や間取り、立地条件や建物の状況、分譲会社、一棟アパートを取り巻く不動産市況など様々な要因を材料にして、査定価格を比較検討しながら算出します。

  1. 売却するアパートの条件と、類似条件の成約物件をそれぞれスコアリングする
  2. 成約物件の1平方メートルあたりの単価を算出する
  3. 1で算出したスコアリングを基にして、2で算出した成約物件の単価と比較して価格査定をする

一棟アパートの売却にかかる費用や税金

一棟アパートの売却は、さまざまな費用や税金が発生します。以下、主なものについて紹介します。

  • 測量費用
  • 印紙税
  • 仲介手数料
  • 譲渡所得税

測量費用

測量費用とは、売却する一棟アパートの建物や敷地について正確に測量する費用です。売却後のトラブルを防ぐために、多少の費用がかかっても事前に測量はしておいた方がよいでしょう。

一方、測量は種類が多く、どのような測量をしなければならないかは物件によって異なります。また、そもそも測量が必要かどうかも、不動産の状態や売却方法によって違うため、媒介契約をした不動産会社などへ相談して取り決めると安心です。

印紙税

印紙税とは、売買契約など金額の記載のある書面に基づいて契約をした場合に貼付して納税します。納税する税額は記載された金額によって違います。国税庁のサイトをもとに、印紙税の税額について一部を引用し表にまとめています。

契約金額本則税率軽減税率
10万円超〜50万円以下400円200円
50万円を超え 100万円以下のもの1,000円500円
100万円を超え 500万円以下のもの2,000円1,000円

参考:国税庁

軽減措置の対象となる契約書は、不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるものが対象となります。対象となる期間は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される契約書です。

仲介手数料

仲介手数料とは、売却が成功した場合、仲介業者に対して売主が支払う成功報酬のことです。手数料の額は成約した不動産の物件価格に応じて決まります。なお、仲介手数料の上限は法律で決められており、売主が不利益を被らないようになっています。

売却した価格に応じた仲介手数料の上限は次の通りです。なお、仲介手数料には別途消費税が加算されます。

売却価格仲介手数料の上限
200万円以下売却価格×5%
200万円超〜200万円以下売却価格×4%+2万円
400万円超売却価格×3%+6万円

例えば1億円でアパートを売却したとします。その場合、次の計算式で求めた手数料を支払います。

  1. 仲介手数料=1億円×3%+6万=306万円
  2. 消費税10%を加算し、税込336.6万円が仲介手数料となります。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産の売却で利益が出た場合に発生する税金です。国税庁のサイトをもとに、譲渡所得税の計算式を紹介します。なお、譲渡所得税は所得税と住民税から構成されており、それぞれ不動産の所有期間によって課税率が異なります。

所得税住民税
5年以下(短期譲渡所得)30%9%
5年超え(長期譲渡所得)15%5%

築30年以上の古いアパートを売却する方法

築30年以上の古いアパートを売却する場合、さまざまな選択肢が考えられます。そのうち、代表的な次の3つについて紹介します。

  • そのまま売却する
  • リノベーションして売却する
  • 更地とにしてから売却する

そのまま売却する

そのまま売却するメリットとして、売主は入居者へ立ち退き交渉をすることなく、入居者はそのまま住み続けられることがあります。また、30年前から存在しているアパートということは、立地面で新築アパートよりも恵まれていることもあります。比較的アパートの状況が良い場合や、入居者が多い場合には、そのまま売却するほうが良いでしょう。

リノベーションして売却する

リノベーションをして売却することで、アパートの評価があがり入居率が高まることが期待されます。現在入居率が低い場合には、売却前にリノベーションを行い、現代風の間取りや設備に変更することで入居率が上がるアパートへ作り変えるとよいでしょう。

ただし、アパートの構造が木造や軽量鉄骨造建築の場合、間取りを変更するリノベーションは難しいケースが多いため注意が必要です。たとえば1KをLDKに変更したい場合、建物の構造自体の問題でリノベーションできないこともあります。そのため、どこまでリノベーションが可能かを専門家と相談のうえ、もし大幅な改善が必要な場合は、そのまま売却するほうが適していると考えます。

更地にしてから売却する

アパートの立地が優れている場合には、建物ごと売却するのではなく更地で売却したほうがメリットがあると考えられます。特にアパートの状態がよくない場合や、すでに入居者が少ない場合には、更地で売却する方が所有者にとって負担が少なく利益を確実にできる場合があります。

なお、アパートの解体費用や入居者の立退料などを控除した金額が、実際の売却価格の目安となります。

注意点として、一棟アパートを解体するには高額の費用が必要であるということが挙げられます。場合によっては、解体費用を捻出することが難しい場合も考えられます。その場合は、売却時に建物を解体し更地にするのではなく、いつでも解体できる状態にして売りに出すという方法もあります。

一棟アパートの売却ならイエカカクがおすすめ

一棟アパートを売却する場合には、一括見積もりがおすすめです。個人で直接複数の不動産会社へ見積もりを依頼するのは、負担が大きく容易ではありません。

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